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埼玉県川口市の中医学(中国伝統医学)に基づく施術を行っている鍼灸院です。

〒332-0023 埼玉県川口市飯塚3-7-28TEL:048-446-9860

info@ishigami89.com

症例9 突発性難聴

●30代 女性 
初診日 201×年2月16日

  • 主訴
 突発性難聴、耳鳴り

  • 現病歴
 2月1日にインフルエンザを発症し、同時に中耳炎になり左の聴力の低下を感じた。2月9日に病院で突発性難聴と診断される。ステロイドとビタミン剤を服用。15日の聴力検査では良くなってきているが、針灸治療が効果があると聞いて来院。小さいがキーンと高い音の耳鳴りがあり、耳の閉塞感もある。

 7年前から仕事でストレスが多く、イライラしやすくなっている。目の疲れ、肩こり、側頭部と後頭部の頭痛、体全体の冷え、食欲があまりなく食べてもすぐお腹がいっぱいになってしまう。便通は1日1回あるが、便の性状は軟便。夢をよくみるなどの症状がある。

 不妊も気にしている。月経周期は25日。30歳になってから生理日数は4日間と短くなる。経血の色は鮮紅でさらっとしている。基礎体温は全体的に低く、高温期が10日未満。

  • 所見
 体型は普通だが、顔色は白く元気がない。左翳風穴(耳垂の後ろ)に大きなしこりがある。
 舌診:舌質淡で胖大、舌尖に点刺、薄白苔
 脈診:右沈細 左沈弦

  • 証名
風熱上擾
 風熱の邪気(インフルエンザウイルス)が耳の経絡に入りみだすことで、耳の竅(穴)を塞いでしまい、難聴と耳鳴りを起こします。インフルエンザの症状が改善されても、風熱の邪が残っているために起こると考えます。

・素体は
脾腎陽虚で気滞を兼ねる
 身体を温める力が弱く、特に胃腸の働きの「脾」と生殖の働きの「腎」の臓の陽気が弱い体質である。そのため、高温期が短かく、冷えが強い。また、ストレスにより気の巡りが滞り、全身に気が巡らないことも冷えの原因となっている。

  • 治法
去風清熱 清宣耳絡
 風熱の邪を取り除き、耳の経絡の通りをよくする

温補脾腎
 脾と腎の臓を温める力を補う

  • 針灸治療での配穴
・左翳風、曲池、合谷、風池、左聴会 
・脾兪、腎兪、太谿、関元、三陰交、子戸、胞門など
 
  • 経過
【2診】
 前回より良くなっている。朝はいいが夕方になると耳に閉塞感がでる。小さい音のキーンという耳鳴りはある。身体の冷えと頚部に突っ張る感じがある。舌診・脈診に変化はない。左翳風穴のしこりの大きさは、前回の3割くらいの大きさにまで小さくなっている。針受診後のだるさはなかったので、1診と同様に治療する

【3診】
 耳の聴力は戻り、日常生活に全く問題はない。周りが静かなときにたまにサーという音を感じるときがある。大便がやや軟らかく、体の冷えがある。脈が沈ではあるが前回よりは少し浮いている。
 温補脾腎の治療に比重を増し、補法を中心に治療を行う。今回で突発性難聴の治療は終了。脾腎陽虚証の治療を行い、体質改善を行いたかったが、本人の希望で治療は今回で終了となる。

 突発性難聴には早期の鍼灸治療が有効である可能性が高い症例です。特に翳風穴にしこりがある場合には、効果はかなりあると考えます。

耳鳴り・難聴の中医学での考え方はこちら

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