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埼玉県川口市の中医学(中国伝統医学)に基づく施術を行っている鍼灸院です。

〒332-0023 埼玉県川口市飯塚3-7-28TEL:048-446-9860

info@ishigami89.com

症例19 治しきれなかった顔面神経麻痺

◆40代 男性
初診日:201×年10月24日

  • 主訴
 左顔面部の麻痺(ハント症候群)

  • 現病歴
 8月末、日中飲み物が口からこぼれると思っていた。帰宅して夕食を食べてみると、味がしなかった。翌朝起きてみると、左顔面部が動かなかったので、当日病院に行く。その日から、通院で1週間ステロイドの点滴を行う。1週間後点滴が終わると、左耳の後ろの当たりに頭痛がし、耳に帯状疱疹ができた。その後は、末梢神経を修復する薬(メチコバール)や血流を改善する薬(アデホスコーワ・カリジノゲナーゼ)を服用。来院時は発症から2ヶ月経つが、麻痺の程度はあまり変わっていないとのこと。味覚は戻っている。
 改善されないので、担当医から形成外科を紹介される。形成外科医からは、見た目はそんなにひどくないので、針などをして様子を見てみてはどうかといわれたので、近所の当院に来院したとのこと。

 食欲、二便、睡眠などに問題は感じていない。ただ、発症当時は、仕事が非常に忙しくて、睡眠時間もあまり取れず、疲れていたとのこと。

 疲労により免疫力が低下し、水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化し、顔面神経が障害されて発症したと考えられます。

 目が閉じられず、涙が出て辛いので、目だけでも閉じられればと訴えておられました。

  • 身体所見
 運動をしていたので、体格はやや筋肉質。おとなしそうな印象。

 ・表情を変えなければ、麻痺かどうかは分かりづらい。(右に引っ張られていない、鼻唇溝ははっきりしている)
 ・シワは全く作れない。
 ・目を閉じようとしても半分くらいしか閉じられない。
 ・口を広げると右側に引っ張られる。
 ・口から水がこぼれる  など

 ・舌診:淡紅、やや嫩、薄白苔
 ・脈診:左やや低く感じられる

  • 証名
・初期:風熱侵襲
 風熱の邪が、陽明絡脈に侵入して気血の運行を阻害し、絡脈が栄養されないために発症

  • 治法
・通経活絡
 2か月経過しているので、清熱を考慮しながらも、陽明脈絡の気血の通りを良くすることを優先して治療を行う

  • 使用経穴
 陽白、攅竹、糸竹空、瞳子髎、四白、地倉、頬車、顴髎、夾承漿、翳風などの顔面部
 合谷、足三里の陽明経
 適宜、補腎で太谿や活血で中封を使用

 顔面部に棒灸、接触鍼

  • 経過
 11/3(3診目) まぶたがあと1/4くらい、口が少し引っ張られなくなったくらいで、劇的という程の回復は認められない。シワはつくれない。

 12/15(8診目) まぶたを閉じることが出来るようになるが、ベッドで横になっていると、まだ時々勝手に瞼が開いてきてしまう。そのため、朝に目やにが出る。この頃から、左耳にあった帯状疱疹の痕が消えてきた。このタイミングで少し改善が進んだように感じる。

 2/16(17診目) 目は閉じらるし、寝ていてもたまに少し開くが、ほとんど閉じていられる。ただ、左目でウインクは出来ない。口をイーと開くのもある程度出来るようになるが、右に比べるとまだ弱い。シワはつくれない。

 この時期くらいから改善がみられなくなる。顔面神経麻痺では、発症から3~6ヶ月でそれ以上回復しづらくなるという旨を説明。1ヶ月間変化がなかったら私の鍼灸治療ではこれ以上の改善は難しいということも伝えました。それでも、4月いっぱいまで通院していただきましたが、改善がみられなかったので、力不足で申し訳なかったのですが、治療を終了とさせていただきました。
 患者さんからは、瞼を閉じることが出来、涙が出なくなったのは良かったと言っていただきました。しかし、出来る限りのことをしたつもりではありますが、治せなかったことは申し訳なく、力が及ばなかったことを残念に思います。通院していただいた患者さんの努力を無駄にしないためにも、さらに精進してよりよい鍼灸治療を行ってまいります。
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