◆中医学的痛みの仕組み
(2つの大原則)
Ⅰ、『不通則痛』
「通ぜざれば則ち痛む」と読み、経絡中の気・血・水分が停滞した結果、痛みを生じるもの。比較的強い痛み。
Ⅱ、 『不営則痛』
「営ぜざれば則ち痛む」と読み、気・血・水分の不足の結果、痛みを生じるもの。 痛みは弱く、知覚障害、、倦怠感などをともなう。
◆痛みの違い
①脹痛
痛みに脹満感を伴う。痛む部位は一定しない。
⇒【原因】気滞
ストレス、飲食の不節制、六淫の邪を感受、外傷などにより、気(活動エネルギー)の流れが停滞することで生じます。臓腑をはじめ、身体各部で起こりえます。肝うつ気滞は最もよくみられ、その症状としてはイライラする、胸脇部の脹満疼痛などが現れます。
②重痛
痛みに重だるさを伴う。関節が曲げにくい
⇒【原因】湿邪阻滞
湿は陰邪であり、重濁・粘膩の性質があります。そのため、湿の邪気は、同じ場所に停滞しやすく、気の運行を阻み、痛みを発生させやすいという特徴があります。原因としては、雨にぬれたり、冷たいものや生ものを食べ過ぎてしまったり、もともと内湿が盛んになりやすい体質などが考えれれます。また、梅雨時に生じやすいという季節性も関係します。
③刺痛
刺されるような痛み。痛む場所が固定している。
⇒【原因】瘀血阻滞
瘀血とは、経脈外にあふれて組織間にたまった血液・運行が阻まれ経脈内に留滞した血液・器官内にうっ積した血液を指します。気虚、気滞、血寒、血熱、外傷、気虚などにより、局所や臓腑、経脈に血液が停滞し、血流が悪くなることであらわれます。押されると痛みが生じたり、夜間に痛みが激しくなるなどの特徴があります。
④絞痛
絞られるような比較的強い痛み。四肢が冷え、温めると楽になる。
⇒【原因】寒邪阻滞
寒邪は陰に属し、陽気を損傷しやすい特徴があります。また、気の流れを阻滞させることが多いので、経絡(気の通り道)の流れが悪くなると痛みが起こります。原因は冬の寒い環境であったり、クーラーに当たりすぎること、身体を温める力(陽気)が不足していることなどがあげられます。
⑤灼痛
痛みに灼熱感を伴う。
⇒【原因】熱証
火熱の邪を感受するか、または陽気が旺盛となり陰液が欠損して生体の機能活動が亢進することによって引き起こされる証候です。夏の時期であったり、ストレス、飲食の不節制、慢性病などにより生じます。気滞が熱と化すこともあります。関節リウマチの炎症状態などが含まれます。
⑥隠痛
しくしくといつまでも痛む。悶々とした痛み。
⇒【原因】気血不足
気虚と血虚が同時に存在する症候です。多くは慢性病などにより気血が消耗することで起こります。症状として、息切れ、汗をかきやすい、倦怠感、顔色蒼白あるいは萎黄などがみられます。
埼玉県川口市の中医学専門はり灸治療院
【石上鍼灸院】