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埼玉県川口市の中医学(中国伝統医学)に基づく施術を行っている鍼灸院です。

〒332-0023 埼玉県川口市飯塚3-7-28TEL:048-446-9860

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膝痛

ハイキング膝は腫れや痛みがよく出るところです。また、治りにくい箇所でもあります。中医学では、変形性膝関節症などのような局所の問題以外に、全身の状態にも原因がある可能性を含めて治療にあたります。

現代医学からみた「膝痛」

膝関節について

膝解剖 膝関節は大腿骨と脛骨それに膝蓋骨(お皿)がひとつの関節包に包まれた関節です。腓骨は関係していません。大腿骨と脛骨の関節面は、大腿骨の方が出っ張っていて、脛骨の方が平面に近いので、うまく適合していません。その間に関節半月が入ることによって、はじめて適合します。関節半月は脛骨の上面で内外両側にあって、輪状の線維軟骨からなります。膝の動きは屈曲と伸展が主ですが、屈曲位では若干の内旋と外旋が可能です。
 また、硬い骨同士が直接ぶつからないように、骨と骨が接する部分は、クッションの役割をはたす関節軟骨というもので覆われています。関節軟骨の表面は非常に滑らかなために、関節をスムーズに動かすことができます。この関節軟骨がけば立ってしまったり、はがれ落ちてしまうことで膝に痛みを感じる方が多くいらっしゃいます。

膝痛を起こす代表的な疾患

  • 変形性膝関節症
@関節軟骨の退行性変化と骨の増殖による関節の形態的変化。成人の半数以上にみられます
A疼痛に伴う筋緊張、関節包の肥厚、軟部組織の収縮、関節面の変形などにより関節拘縮が起こる
B中年以降の肥満女性、高齢者に多い
C原因疾患に続発するもの:半月板・靭帯損傷、関節内骨折、関節リウマチなど

【症状】
・立ち上がり、歩き始め、動き始めなどの動作開始時痛
・特に降りるときの階段昇降時痛
・可動域・運動制限:正座が困難、走れないなど
・圧痛:膝関節内側に多い
・大腿四頭筋の萎縮:特に内側広筋
・関節水腫
・進行すると内側関節部の摩耗によりO脚になりやすい

【現代医学での治療】膝関節の負担(肥満、重労働)を減らす、運動療法(大腿四頭筋の強化)

  • 半月板損傷
@膝関節屈曲位で捻り(下腿の内・外旋)が加わったときに損傷されやすい
A内側半月板の損傷が多く、内側側副靭帯損傷を合併することが多い

【症状】
・疼痛、腫脹
・有痛性クリック(軋轢音)
・嵌頓症状(ロッキング)
・運動制限:屈曲制限(正座ができない)

【治療】保存療法、手術療法

  • 靭帯損傷
@激しいスポーツや交通事故などによって膝に外力(内反、外反、捻り)が加わり起こります
A分類
 ・前十字靭帯断裂:前方引き出し徴候を認める
 ・後十字靭帯断裂:後方引き出し徴候を認める
 ・内側側副靭帯断裂:外反動揺性を認める。靭帯損傷で最も多い
 ・外側側副靭帯断裂:内反動揺性を認める
B不幸の三徴候:外反を強制されると3つの靭帯が同時に切れてしまうこと
 前十字靭帯損傷+内側側副靭帯損傷+内側半月板損傷

【症状】
・疼痛
・可動域制限
・関節血腫
・不安定性(膝がガクッと崩れるような不安感)

【治療】保存療法、手術療法

  • 膝蓋靭帯炎
@ジャンプを繰り返す種目や長距離種目に好発。バスケットボール、バレーボール、走り高跳びなど
A膝蓋骨下端の膝蓋靭帯付着部に着地時の衝撃が加わって炎症が起こる

【症状】
・膝蓋骨下端の疼痛、自発痛、運動痛、圧痛
・腫脹
・軋轢音(ギシギシ音)
・ハムストリングス拘縮のため膝完全伸展不能

【治療】安静、大腿四頭筋のストレッチ

  • ランナー膝
@ランニングにより膝に過度の負担がかかって起こる
◆外反傾向の人に多い → 内側の鵞足部に炎症が起こる
◆内反傾向の人に多い → 外側の腸脛靭帯の炎症

【症状】
・内側鵞足部の疼痛・圧痛
・腸脛靭帯の疼痛、大腿骨外側上顆部の自発痛・圧痛

【治療】安静、ストレッチ

中医学からみた「膝痛」

 中医学では、関節部位は気血の集まるところで、陰陽気血が内外出入する要道ととらえています。邪気が侵襲しやすい部位で、外邪が侵襲して陰陽が失調します。それにより経絡の流れが悪くなり、気血が壅滞すると、関節は閉じて要道がつまってしまいます。また、体質が虚弱であったり気血両虚または精血不足であると関節の栄養状態が悪くなり、また過度に膝を酷使して関節を損傷すると虚損性の病変を起こしやすくなります。

原因の1つ「湿」について

湿
 『黄帝内経素問』に「湿邪が侵入すると体の下半身に先に症状が現れる」とあります。湿邪の侵入や臓腑機能の失調などが原因で、津液がスムーズに流れなくなると、体内に水がたまってしまうため、湿や痰飲によって、特に下半身のむくみ・冷え・痛み・麻痺などの症状が現れます。
 湿証には外因による外湿と、臓腑機能の失調による内湿があります。外湿でも内湿でも個人の体質により変化し、気虚・陽虚の体質の場合は寒湿に変わり、陽盛・気鬱の体質の場合は湿熱に変わりやすいです。

◆外因(六淫邪気)
 湿邪・寒邪などの陰邪によって気機の巡りが悪くなり、体が冷えて、津液の代謝が停滞し、湿証を引き起こします。湿邪のもつ重濁性により、体や関節の重だるさ・疼痛などの症状と、尿の混濁・下痢・おりもの・湿疹などの分泌物が出る症状が起こります。さらに、粘滞性により、排便後の便意や皮膚病の分泌物など、すっきりしない症状があり、病気の過程が長く、アトピーなどの皮膚病のように根治しにくいものが多い。

◆臓腑機能の失調
@肺の呼吸を主る機能の低下により、肺気の宣発・粛降機能が失調となり、津液の分散ができなくなって湿証が現れる
A脾の運化機能の低下により水湿が停滞する
B肝の疏泄機能が失調して水の代謝が悪くなって湿証となる
C生ものを食べたり、暴飲暴食・多食などの飲食の不節によって脾胃の機能が乱れる

弁証施治

  • 気血両虚
気虚(臓腑の機能低下)と血虚(血の不足により栄養を運べずに生じる全身の虚弱)が同時に存在する症候。

【症状】 膝の腫脹と疼痛

【随伴症状】 四肢がだるい、顔色が萎黄、頭がふらつくなど

【舌診・脈診】 舌質淡または嫩、舌苔薄白、脈沈細
【治法】 益気補血
【良い食材】 うるち米、にんじん、山いも、じゃがいも、ぶどう、ライチ、落花生、栗、鶏肉、牛肉、豚ハツ、イカ、田ウナギなど
【鍼灸治療代表配穴】 脾兪、膈兪、三陰交、合谷、気海、足三里、膝眼、阿是穴(血海、梁丘、陰陵泉、陽陵泉)など


  • 肝腎両虚
肝と腎は相互に栄養を供給し合っていて、肝血は腎を滋養して精を生成し、腎精は肝を滋養し血を生成しています。病後や慢性疲労などにより、この肝と腎の機能が低下している状態。

【症状】 両膝の腫脹と疼痛

【随伴症状】 腰がだるく痛む、下肢の筋肉がやせる、元気がないなど

【舌診・脈診】 舌痩または胖大、舌質淡、舌苔薄白、脈沈細
【治法】 補益肝腎
【良い食材】 山いも、栗、黒ごま、鶏肉、羊肉、スッポン、田ウナギ、イワナ、ナマコ、エビなど
【鍼灸治療代表配穴】 肝兪、腎兪、太谿、三陰交、曲泉、膝眼、阿是穴など


  • 湿熱
湿気の多い環境や冷えなどにより風湿の邪が体に侵入し、それが熱化して湿熱となり、その湿熱が経脈に停滞して膝を犯すために発生する。

【症状】 両膝の腫脹と疼痛、触れると熱感がある

【随伴症状】 尿が濃い、便は初めは硬く後が軟らかいなど

【舌診・脈診】 舌質嫩で紅、舌苔黄膩、脈滑数または軟数
【治法】 清利湿熱
【良い食材】 はと麦、粟、とうもろこし、大豆、あずき、にがうり、きゅうり、とうがん、すいか、金針菜、豆腐、コイなど
【鍼灸治療代表配穴】 脾兪、陰陵泉、陽陵泉、章門、膝眼、阿是穴など

  • 寒湿
湿熱の膝痛同様に侵入してきた風湿の邪が、寒化して寒湿となり、寒湿が膝部に留まって気血を阻滞するために発生する。

【症状】 両膝の腫脹と強い疼痛、膝部の冷え

【随伴症状】雨天に疼痛が増強するなど

【舌診・脈診】 舌質暗紫、舌苔白滑、脈沈緊または沈遅
【治法】 散寒温経、去湿活血
【良い食材】 米、ねぎ、生姜、うど、ピーマン、香菜、山椒、唐辛子、黒砂糖、酒、あずき、金針菜など
【鍼灸治療代表配穴】 脾兪、腎兪、陰陵泉、関元、三陰交、膝眼、阿是穴など

膝痛に効く民間療法

◆大根の干葉湯
 大根の葉を10日間くらい天日で干します。干した葉は水洗いした後に茹で、ガーゼ袋に入れます。茹で汁と一緒に、ガーゼ袋を浴槽に入れます。この干葉湯は保温効果が高く、冷え性や冷えによる痛みに効果的です。

◆カミツレ茶
 5gのカミツレ(カモミール)を急須に入れ、熱湯を注ぎ、5分蒸らしてからカップに注ぎます。カミツレは鎮痛、鎮静効果があり、関節の痛みを緩和してくれます。1日3回、食間に飲みましょう。

運動について

 膝の負担を軽減するために、体重を減らすことや腿の筋肉(大腿四頭筋)を強化することは非常に重要です。特に大腿四頭筋のうち内側広筋を鍛えることがポイントになります。内側広筋は膝をしっかりと伸ばしたときに最も使われます。そのため、運動としては、椅子に座った状態で膝関節を完全に伸展させ、その状態を10秒間維持してから、戻します。この動きを10回を1セットして、1日に3セット行いましょう。同じような運動では、長坐位で膝の下にタオルなどを入れて、そのタオルを床に押し付けるよう膝をしっかりと伸ばす運動も効果的です。ジムに通われている方は、レッグエクステンションのマシンで、軽い重量で構わないので、しっかりと膝を伸ばして行うようにしましょう。
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