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埼玉県川口市の中医学(中国伝統医学)に基づく施術を行っている鍼灸院です。

〒332-0023 埼玉県川口市飯塚3-7-28TEL:048-446-9860

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肩の痛み

五十肩運動による肩の痛み、五十肩(肩関節周囲炎)などの痛みや運動制限を改善させるのに、針灸治療はとても効果的です。肩の運動制限がある場合は、日常生活に支障をきたし不便ですよね。下記の中医学的分類のほかに、経脈の流れをよくし、痛みや運動制限を改善するという考え方があります。

現代医学からみた「肩痛」

「肩痛」を起こす疾患

  • 回旋筋腱板炎
【概要】
・加齢による回旋筋腱板(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)の退行性変化を基盤として発症する肩関節の疼痛と運動障害
・上肢の運動に際して、腱板(特に棘上筋腱)が肩峰や肩峰烏口靭帯と上腕骨頭との間隙で機械的圧迫や摩擦・衝突を受けることによって発生する炎症
・40~50歳代に多い

【症状】
・肩関節の運動時の痛み。可動制限もあるが比較的軽いことが多い
・圧痛があるが、自発痛や夜間痛は基本的にはない
・腕を挙げた際、60°~120°の間で痛みを感じる。120°以上腕を挙げると痛まない
ローテーターカフ





  • 腱板損傷
【概要】
棘上筋・回旋腱板を構成する棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋の損傷
・棘上筋腱の大結節付近が最も負荷がかかり、損傷しやすい
・損傷すると炎症が波及して肩峰下滑液包炎を誘発し、自発痛・夜間痛を生ずる
・50歳代に好発するが、20歳代ではスポーツ障害や強い外力で発症する

【症状】
・肩関節の運動時の痛み、力が入らない
・肩関節の自動外転障害(他動外転は可能)
・大結節部の圧痛
・肩峰下滑液包炎による自発痛・夜間痛
・外転角度60°~120°での痛み。120°以上挙げると痛みを感じない

  • 上腕二頭筋長頭腱炎
上腕二頭筋【概要】
・上腕二頭筋長頭腱に発生した腱炎・腱鞘炎
・長頭腱は狭い結節間溝の中を通過していて、上肢の過度の運動により長頭腱や腱鞘が摩擦されて炎症を起こし発症する
・スポーツ障害や退行性変性を基盤に発症
・20~40歳代に好発

【症状】
・結節間溝部の疼痛・圧痛
・肩関節前面の発赤・熱感・腫脹
・肩関節の外転・外旋時痛
・肘関節屈曲位での前腕回外で疼痛増強


  • 石灰沈着性腱板炎
【概要】
・腱板内(主に棘上筋腱)の石灰沈着物が腱板から隆起し、肩峰下滑液包の床面を刺激するために激痛が走る。カルシウム代謝異常
・圧倒的に中年以降の女性に多い

【症状】
・発症は急性で、夜間に多い。耐えがたい灼熱痛を伴う
・局所の激痛により、上肢は下垂し、肩関節の運動が全方向に著しく制限される
・自発痛・夜間痛が強い

  • 肩峰下滑液包炎
【概要】
・腱板炎、腱板断裂、石灰沈着性腱板炎、上腕二頭筋長頭腱炎などに続発する二次性の炎症
・肩峰下滑液包の内壁は滑膜でおおわれ、豊富な神経、血管、リンパ管が存在しているため、痛みに対して極めて敏感で、炎症が起こると激しい自発痛・夜間痛を生ずる

【症状】
・腱板炎の症状に自発痛・夜間痛が加わる
・広範囲の圧痛
・肩関節の運動制限
・発赤、熱感、腫脹などの炎症症状

  • いわゆる五十肩(肩関節周囲炎)
【概要】
・肩関節の構成体である回旋筋腱板、上腕二頭筋長頭腱、肩峰下滑液包、関節包などの軟部組織に炎症が起こり、痛みの強い急性期(疼痛期)と拘縮が現れる慢性期(拘縮期)を経て治癒するのが特徴
・40~50歳代に好発し、徐々に発症

【症状】
(急性期:疼痛期)
 ・疼痛による運動制限、ただし肩の腫脹はない
 ・運動時痛、進行すると肩から頚部・上肢への放散痛
 ・自発痛・夜間痛
(慢性期:拘縮期)
 ・肩関節拘縮によるツッパリ感を伴う運動制限
 ・結髪障害(外転、外旋制限)、結帯障害(外転、内旋制限)
 ・上肢拳上障害、上着着脱障害など
 ・拘縮期の筋萎縮:特に棘上筋、棘下筋

【典型的な経過パターン】
Ⅰ期:腱板炎、長頭腱炎の拡大
・回旋筋腱板、上腕二頭筋長頭腱の退行性変化と炎症を基盤として発症
・腱板や長頭腱の炎症が腱自体に限局せず、肩関節周囲の筋肉、靭帯、関節包などに波及し、防御反応として筋緊張が起こり、肩関節の疼痛、運動制限が生ずる
・肩の運動痛で始まり、次第に痛みが強くなる

Ⅱ期:肩峰下滑液包の炎症
・炎症が更に拡大し肩峰下滑液包、肩関節包・関節滑膜にまで波及する
・肩峰下滑液包は内壁の滑膜に豊富な神経・血管を有するため、炎症に伴う自発痛・夜間痛が出現し、疼痛はピークになる

Ⅲ期:炎症の後遺症(癒着・萎縮)
・急性炎症が鎮静して疼痛、自発痛・夜間痛が軽減する
・反面、肩峰下滑液包、肩関節包、滑膜、靭帯、筋肉などに癒着や萎縮が進行し始め、関節拘縮による運動制限が逆に増強傾向を示す

Ⅳ期:関節拘縮(無痛性の運動制限)
・癒着や萎縮による関節拘縮がピークになり、肩関節の可動域制限、特に外転運動が著しく障害される
・無痛性の関節拘縮が徐々に軽減・緩解し、関節可動域の制限も消失して治癒に至る

中医学からみた「肩痛」


●中医学では病因を3つに分けます。
①外因(風邪、寒邪、湿邪、暑邪、燥邪、熱邪)
②内因(喜、怒、思、憂、悲、驚、恐)
③不内外因(飲食失調、過労、運動不足など)

また、二次的な病因もあり、気・血・津液および臓腑・経絡の働きに障害が生じた結果、あらわれる病理産物をさします。おもに水湿、痰飲、瘀血があります。

風邪・寒邪・湿邪について

風邪
・変化が敏速
 病状の進展がはやく、あるいは変化しやすい
・遊走性、移動性がある
 病変部位が変化する
・上半身、皮膚をおかす
 風邪は性質が軽いため、頭部、顔面部などの上半身、あるいは表面部の皮膚に症状があらわれやすい
・動揺する
 動きをともなう症状が多い
・他の邪気を先導する
 風邪は単独で人体に侵入することは少なく、ほかの六邪をともない侵入することが多い

【風邪の病証】
・風邪が表にあるときの症状
 寒け、寒けは温めると緩解、発熱、汗がでる、頭痛、鼻水、鼻づまり、あるいはのどのかゆみ、軽い咳など
・風邪が皮膚に停滞したときの症状
 発疹、皮膚のかゆみ、発疹あるいは痒む場所が急に発生し、一定しない、よく移動・増減するなど
・風邪が経絡に停滞したときの症状
 走行性の痛み、しびれ、ひきつれ、こわばりなど

寒邪

・冷やす
 全身および局所の冷寒症状をあらわす。
・収斂性がある
 寒邪は縮まる、ひきつるなどの特徴をもつ
・凝滞性がある
 寒邪が体内に侵入すると気血の流れが停滞する
・陽気を損なう
 寒邪が体内に停滞すると、まずは陽気を損なう

【寒邪の病証】
・寒邪が表に侵入したときの症状
 激しい寒け、ひきつづき発熱、寒けは温めても変わらない、汗がでない、頭痛、うなじや背中のこわばり、関節痛
・寒邪が経絡に停滞したときの症状
 激しい痛み、痛む場所が一定する、患部の腫脹、すべての症状は温めると緩解し、冷やすと悪化するなど
・寒邪が臓腑に侵入したときの症状
 腹痛、下痢、腸鳴、嘔吐、手足の冷えやひきつれなど

湿邪
・沈重性がある
 湿邪は重いので、湿邪におかされた部位が重い、重だるいなどの沈重感をともなう症状があらわれる
・下を犯す
 湿邪の沈重性は下降性ももち、下半身、下肢にながれこみやすい。そのため膝、足首、脚など、おもに下半身の症状としてあらわれる
・定着する
 湿邪は定着性が高いため、いったん体内に侵入すると、なかなか取りのぞくことができない
・粘膩である
 粘膩とは、粘りけがあり汚いことをさす。
・脾をやぶりやすい
 湿邪が体内に停滞すると、脾の運化作用を妨げやすい。
・気の運行を妨げる
 湿邪は同じ場所に停滞しやすい。そのため気の運行を阻み、痛みを発生させやすい

【湿邪の病証】
・湿邪が表に侵入したときの症状
 頭痛、頭重、発熱、汗がでない、あるいはジトジトの汗がでるなど
・湿邪が皮膚に停滞したときの症状
 湿疹、湿疹は少し盛り上がり、掻きこわすとジュクジュクし、皮膚がジメジメするなど
・湿邪が経絡や関節に停滞したときの症状
 重だるい痛み、痛む場所が一定する、関節痛、関節の腫脹、運動制限、あるいはしびれ、ジメジメした日に悪化するなど

二次的な病因「瘀血」


  • 瘀血

 瘀血は血が停滞して発生したものです。
 瘀血の状態には2つあります。ひとつは、脈内で血の運行がスムーズにいかず停滞している状態です。もうひとつは脈内から血が漏れだし、吸収されないままになる状態です。

≪瘀血の症状≫
・脈内で血の運行が停滞している状態
 脈内で血の運行が停滞している状態では、患部の刺すような痛み、固定痛、顔、肌の色がどす黒い、唇が紫あるいは黒ずむ、舌が紫(舌質紫)、鮫肌、静脈が青黒い、あるいは紫色に変色するなどの症状があらわれる。
・脈内から血が漏れだし、吸収されない状態
 脈内から血が漏れだし、吸収されない状態では、固定痛、紫色に腫れるなどの症状をあらわしやすい。

≪瘀血の特徴≫
・気の運行を阻害する
 瘀血が体内に停滞すると気、津液の運行を阻み、とりわけ気の運行を阻む。気が停滞することを気滞といい、血瘀と気滞とは同時にみられることが多く、これを気滞血瘀をいう。気滞血瘀では、瘀血の症状のほか、気滞の症状である脹りや放散痛などがあらわれる。

・全身への血の供給が低下する
 瘀血が経絡のなかにあると、各所への血の供給路が阻まれることになる。そのため、部分的な血の不足がおこる。症状としては、血の滋潤作用が低下したときは、皮膚の乾燥、鮫肌になる、営養作用が低下したときは、知覚の低下、しびれなどがおこり、痩せてくる。

・しこりができる
 瘀血が体内で停滞すると、停滞する部位に固いしこりができる。これを瘀積という。このしこりは、部位が固定し動かない。また激しい痛みを呈することもある。

・出血する
 瘀血が停滞すると、血がスムーズに流れなくなり、脈外に漏れやすくなる。そのため出血症状をあらわす。打撲がないのに皮下出血を繰り返したり、不正出血をはじめとした出血症状がよくみられる。


弁証施治


  • 風寒の邪気
汗が出て風に当たったり、夜間睡眠中に肩が冷えて発生し、風寒の邪が皮膚から侵入してくることで起こります。とくに体力が弱り気味の時は、衛気が弱く汗をかきやすいので、風寒の邪を感受しやすくなっています。

【症状】鈍痛、痛みは肩後部や背部に及んだり、肩全部から上腕におよび、首から背中にひきつる感じを伴うことが多い。また、肩が冷える感じがあり、温めると痛みが軽くなる

【舌診・脈診】舌苔白、脈浮
【治法】疏風散寒止痛
【良い食材】米、ねぎ、大葉、生姜、香菜、黒砂糖など
【鍼灸治療代表配穴】大椎、風池、合谷、曲池、外関、局所穴など

  • 寒湿の邪気
寒湿の邪によって発生し、長い間寒く湿気の多い場所で生活したり、ひどく汗をかいた後に冷水につかったりして発症することが多い。

【症状】肩の痛みが強く、経過が長い。肩に寒冷感があり、温めると痛みが楽になるが、しばらくするとまた痛みと寒冷感が出てくる。長引くと、汗が出やすい、息切れ、疲れやすい、かぜにかかりやすいなどの症候を伴う。

【舌診・脈診】舌淡、舌苔白、脈弦あるいは弦細
【治法】祛寒湿、補気血
【良い食材】米、生姜、ねぎ、うど、ピーマン、香菜、山椒、唐辛子、黒砂糖、酒など
【鍼灸治療代表配穴】大椎、風池、風門、陰陵泉、合谷、足三里、局所穴など

  • 瘀血
捻挫などの外傷によるものと、慢性に出現するものとがあります。瘀血の肩痛は、外傷の既往があって突然発症します。また、痰湿が慢性に経過すると血瘀を伴います。

【症状】刺痛、外傷は局部の腫脹・圧痛、慢性は筋肉のこわばり・萎縮など

【舌診・脈診】変化がない、あるいは舌紫、瘀点
【治法】活血化瘀・止痛 (慢性は痰湿の治療も加えます)
【良い食材】唐辛子、にら、ねぎ、チンゲン菜、玉ねぎなど
【鍼灸治療代表配穴】膈兪、三陰交、中封、局所穴など

経筋とは?

 『黄帝内経霊枢 経脈篇第13』に、経筋の流注ならびに身体のつっぱり、ひきつり、痙攣、痛み、麻痺等を主治することが記述されています。このことは、古代において運動器系の愁訴を対象とした経絡概念として、「経筋」が確立されていたことを示唆しています。
 また、『霊枢 邪気臓腑病形篇』には、「榮兪(えいゆ)は外経(経筋病を含む)を治し、合は内腑を治す」とあります。榮穴、兪穴、合穴はどれも各経脈の重要な経穴ですが、特に榮穴と兪穴は運動痛を治すことができます。手や足の経穴(榮穴兪穴は手や足にあります)に鍼灸治療を行うことで、肩痛や腰痛を治すことができるので、少し不思議ですが間違いなく効果があります。

 肩周りには、手陽明経筋・手少陽経筋・手太陽経筋・手太陰経筋・手少陰経筋・足太陽経筋があります。痛む部位によりどの経筋の病かを判断し鍼灸治療を行います。痛みをとったり、可動域の改善にとても効果のある治療法になります。

血行をよくする食べ物を摂る

 タマネギの硫化アリルには、血液の塊を溶かし、血行を促進する効果があり、筋肉の働きをよくするカリウムも豊富に含まれているので積極的に摂りたい食品です。火を通すとかさが減ってたくさん食べられるので、炒めたり、スープにしたりするとよいでしょう。長ネギもタマネギと同様の効果があります。
 また、クルミに含まれるリノール酸やγ-リノレン酸などの良質の不飽和脂肪酸は血液の粘性を抑え、血管の老化を防止します
 他にも、老化防止や血行を改善するビタミンEが多く含まれるカボチャ、内臓を温め、血液を補う働きがあるニンジン、血管を拡張し血液の流れをスムーズにするEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれるサバ、イワシなどの青背の魚も有効です。
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