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見出し脈診

脈診とは?

脈診とは、病院でレントゲンを撮ったり、検査をする代わりに、脈(橈骨動脈)を診て、身体の中で起こっていることを知る方法のひとつです

2000年以上前から先人たちにより積み上げられた経験により、どんな脈の状態が何の疾患(身体の状態)と関係があるかを中医学では知ることができます

例えば、発熱すれば脈は速くなりますし、血圧が高い時は脈が強くなるなどは分かりやすい変化です

脈から何をみているか

中医学は身体のアンバランスを修正する医学です

その最も基本的な分類は、陰と陽の2つに分けてバランスをみることです
陰陽のバランスが整っている状態を健康とし、バランスが崩れた状態を病気とします
しかし、陰陽はとらえどころがなく、具体的に把握することが難しいです

脈診は、この体内で起こっている陰陽の状態を、脈の形や打ちかたから知る方法になります
脈診は身体の中を映し出す鏡なのです

陰陽の状態をどう確認しているかというと、脈から気の状態をみています
気がたくさんあれば、脈は大きく、強く、充実したものになります
逆に少ないと、脈は小さく、弱く、空虚なものになります
陰陽のバランスが崩れ、陽が多くなると、脈は「浮く」「速い」など陽の性質が強くなります
逆に陰が多くなると、脈は「沈む」「遅い」などの陰の性質が強くなります

脈診をしていて、本当に良かったと思えた症例

・50代男性 【主訴】横になると息ができなくなる

脈診:渋、促

以前から腰痛で来院していただいた運送業の男性です
布団やソファに横になっていると息ができなくなるということで来院

1ヶ月半前に外に出たときに初めて息苦しさを感じ、その後仕事で荷物を運んでいるときなどにも感じることがあったそうです
先日、内科を受診しレントゲンと肺活量を調べましたが、何の異常もないと言われたそうです

普段から元気でよくしゃべる患者さんなので、軽ければ無呼吸症候群で横になっていると苦しくなってしまうのかな、などと考えながら脈診を行いました

すると、今までに感じたことのない違和感のある脈でした
脈拍が速く、不整脈があり、何よりやってくる脈がザラザラしていて、強い脈がきたり弱い脈がきたりと明らかに脈によくないものを感じました
これは心臓に問題があると思い、最近心電図を撮ったことがあるか聞くと2年くらいは撮ってないとの返事でした
チアノーゼのような症状もなく元気そうであったものの、すぐに心臓を診てもらいに病院に行くようお願いしました

後日、病院から当院に電話をいただきました
現在入院中で、結果としては心臓が20%しか機能していなく、そのせいで肺に水が溜まり、横になると肺が圧迫されて苦しくなってしまうのだと言われたそうです
今はリハビリをしていて早く退院したいと、元気そうに話してくれました

中医学での気血や臓腑の異常をみたわけではないのですが、普段から脈診をしていたからこそ違和感を感じることができ、患者さんをサポートすることができて本当に良かったと思えた症例でした

正常な人の脈(平脈)

平脈とは気血が充実し、陰陽に偏りがなく、病邪がないときの脈のことです
具体的には8つの特徴を備えています
(こまかい説明は逆に分かりづらくなるので簡潔に説明しています)

①不浮不沈 【位置】 中間の位置に脈を感じる

②三部有力 【長さ】 短すぎず、長すぎない脈

③不大不小 【太さ】 太くも細くもない脈

④不遅不数 【速さ】 1分間の脈拍数が70回前後

⑤柔和有力 【強さ】 脈管壁の緊張に過不足がなく、力のある脈

⑥従容和緩 【流れ】 流れがゆったりと緩和な脈

⑦節律一致 【脈拍】 脈拍が間欠的あるいは規則的に停止しない脈

⑧尺脈有根 【尺部拍動】 尺部(脈の見どころの1つ)が有力で従容和緩な脈

◆浮沈

「浮」は体表部に、「沈」は身体の奥に陽気があることを意味します

浮

・浮(ふ)
 軽く触れて拍動をはっきり感じ、少し按じると弱くなるが中空でない脈
 【主病】 表証、裏虚証

・洪(こう)
 浮で脈幅が太く、脈拍は速く拍動は波のように押し寄せる感じの脈
 【主病】 陽熱亢盛、虚労

・濡(なん)
 浮で細く軟らかく、按じると弱くなる脈
 【主病】 精血虧損、湿証

・散(さん)
 浮で、指へのあたりはやや強いがその後ぱっと散ってしまう脈
 【主病】 気血耗散、陰陽離決

・芤(こう)
 浮大軟で、按じると中空の脈
 ネギの青いところを押すと感じるのに似ている
 【主病】 失血、傷陰

・革(かく)
 浮でピンと張った脈だが、按じると中空の脈
 太鼓の皮に触れたような感じ
 【主病】 精血内虚

沈

・沈(ちん)
 指を沈めていってはじめてはっきり触れる脈
 【主病】 裏証

・伏(ふく)
 沈部より深くさらに重按してはじめて触れる、はなはだしくは触れない脈
 【主病】 裏証で邪閉、熱厥証、陽衰など

・牢(ろう)
 沈で、硬く力のある脈
 【主病】 裏実証

・弱(じゃく)
 沈ではじめて触れ、細軟で力のない脈
 【主病】 気血虧損で陽衰気弱

 

◆遅数

身体の中の寒熱の状態を表します
脈が速いということは陽が旺盛であり、遅いということは陰が旺盛な状態です
陰が旺盛な状態では陽気が少ないために、寒が発生して脈が遅くなります

遅

・遅(ち)
 脈拍が1分間に60回以下の脈
 【主病】 寒証、病邪阻滞

・緩(かん)
 軟らかみのある、すこし遅いゆったりとした脈
 【主病】 正常、湿証、脾胃虚弱

・渋(じゅう)
 拍動が不明瞭で流れが悪い脈
 【主病】 血行渋滞

・結(けつ)
 緩慢で間欠的に停止し、停止に規則性がない脈
 【主病】 痰飲・食滞などによる気血運行の停滞、精神情緒失調により気の停滞、気血の衰え

・代(だい)
 規則的に停止して、停止時間が長い脈
 【主病】 臓腑の機能活動の衰え

数

・数(さく)
 1分間に脈拍が90回以上の脈
 【主病】 熱、気脱

・動(どう)
 脈の形が豆のように短く、強めの脈
 【主病】 痛証、驚証

・促(そく)
 脈が速く、不規則に停止する脈
 【主病】 火熱内盛、五積(気・血・痰・飲・食)の停滞による化火

◆虚実

脈に力があるか、ないかで、「虚」「実」をみます
気血陰陽の力のバランスで、脈のでかたが変化します

虚

・虚(きょ)
 はっきり触れる位置で按じると抵抗力がなくなる、無力の脈
 【主病】 虚証(気血陰陽不足)

・短(たん)
 短い脈
 【主病】 気虚、血虚、気滞、瘀血、痰滞、食積

・細(さい)
 細い脈
 【主病】 気血両虚、陰血不足、病邪阻滞

・微(び)
 細く軟らかく、絶えそうで絶えない脈
 【主病】 陰陽気血衰微

実

・実(じつ)
 軽く按じても、深く按じても、力の有る脈
 【主病】 気血の充実、火熱亢盛

・長(ちょう)
 通常より長い脈
 【主病】 陽気が旺盛

・弦(げん)
 琴弦を張ったような脈で、脈の高さが低いのが特徴
 【主病】 正常、肝気うっ血などの肝胆病、疼痛、食滞

・緊(きん)
 脈管の弾力性がなく緊張している脈
 【主病】 内外寒邪、諸痛

・滑(かつ)
 脈の拍動がはっきりしていて、流れが滑らかな脈
 【主病】 気血旺盛、内外火熱邪、痰飲・湿邪

・大(だい)
 脈幅が太い脈
 【主病】 陽熱亢盛、亡血気衰
 

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