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埼玉県川口市の中医学(中国伝統医学)に基づく施術を行っている鍼灸院です。

〒332-0023 埼玉県川口市飯塚3-7-28TEL:048-446-9860

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肩こり

肩こり 肩こりは日本人に特有な症状といわれています。上肢・頭を支えているために常に筋肉が緊張状態にあり、日本人は比較的筋力不足な方が多く、姿勢も悪いことが肩こりを引き起こしています。また、ストレスが多く、目を酷使することも多いために血流が悪くなることも要因の一つです。
 中医学では上記内容をふまえながら、さらに筋肉の脹りの違い、胃腸や睡眠の状態などを考慮して診断をしていきます

中医学)からみた「肩こり」

ここでは、急性の肩こり(例えばカゼ気味で急に肩が脹ってきたような場合)を除き、慢性的な肩こりについて焦点を絞ります。なお、五臓の働きからみる肩こりを中心に説明していきますので、まずは五臓の働きについて説明していきます。

肩こりに関係のある五臓の働き

肝
◆肝は疏泄を主る 
『肝は、全身の気を運行させ、さらに精神状態を安定させる』
①気を運行させる
 肝には全身の気を順調にめぐらせる働きがあり、肝はこの疏泄の働きで、全身の気の運行を調節しています。
②精神状態を安定させる
 肝は常にのびのびとし、気持ちのよい状態を好みます。肝の疏泄が正常ならば、全身の気血のめぐりが順調で、感情が安定し、正しい判断ができます。
③消化を助ける
 肝は飲食物の消化・吸収を助けます。飲食物の消化吸収の過程は、脾の運化作用により営まれます。肝は気血をスムーズに運行させ、この脾の運化作用が順調に営まれるように補助している役目を担います。

◆肝は血を蔵す 
『肝は血の貯蔵庫である』
 血は身体にとって重要な栄養物質であり、肝はこの血を貯蔵・補給する働きがあります。

◆肝は筋を主る 
『肝は筋肉の働きを維持する』
 筋肉の働きは、肝の血によって維持されています。したがって肝血が十分であれば、筋肉の働きがよく、長時間の運動や労働が可能となります。

◆肝は目に開竅す 
『肝は目の働きを維持し、肝の病変は目にあらわれる』
 目の生理的な働きは、肝血の滋養にたよっています。肝が目に十分な血を供給すれば、物がはっきり見え、乾燥することもありません。

心
◆心は血脈を主る 
『心は血を全身に循環させる』
 心は胸中をめぐる宗気とともに、血を全身のすみずみに行きわたらせます。この働きにより、すべての組織・器官は、血の栄養をうけることができます。

◆心は神明を主る 
『心は精神の働きを統括する』
 神とは感情、思考、意識、判断など、すべての精神的な働きをさす言葉です。心が充実していると、精神状態は非常に穏やかで、情緒が安定し、思考能力も活発な状態になります。

肺
◆肺は呼吸を主る 
『肺は呼吸をおこなう』
 肺は、大気中から身体に必要な気(清気)を吸いこみ、不要となった気(濁気)を吐きだします。

◆肺は一身の気を主る 
『肺は宗気の生成、気の調節に関与する』
①肺は宗気を生成する
 宗気は飲食物から吸収した水穀の精微と肺が吸収した清気とが、胸中で結合することでつくられます。宗気は胸中をめぐり、言語、音声、呼吸を調節し、心の推動を助ける働きがあります。
②肺は全身の気を調節する
 肺は呼吸運動で清気を吸いこみ、腎までおろし、濁気を宗気と協力して鼻から吐きだします。この働きが順調ならば、清気と濁気とはつねに入れかわり、体内の清気が充実することになります。また、清気は腎にある元気や飲食物から吸収した水穀の精微とともに気をつくる元となります。そこで、清気の不足は、全身の気の不足を導きます。

◆肺は宣発と粛降とを主る 
『肺気には、いろいろな運動形態がある』
『宣発は外方、上方および全身へ向かう運動である』
『粛降は収斂、内方、下降の運動である』
①宣発の働き
 肺は水穀の精微と気を、皮毛をはじめとして全身に送りこみます。この働きが正常ならば、皮膚はつねにみずみずしく、さらには外邪の侵入を防ぐことができます。また、汗を汗孔から排泄する働きもあります。汗を出すことには、汗とともに濁気を出したり、体内に侵入した外邪を追い出す役目もあります。
②粛降の働き
 肺は呼吸で取りこんだ清気を腎に送りこみ、不要となった水液を膀胱におろします。また、肺は汗を出すばかりではなく、外界の環境変化に応じて、皮毛、汗孔を閉じ、発汗を抑えます。

◆肺は水道を通調す 
『肺は水液の代謝を調節する』
 水道とは水液の代謝経路をさします。肺は不要な水液を、宣発作用で汗として出し、粛降作用によって膀胱におろし、尿として出します。この一連の過程を水道を通調するといいます。

◆肺は皮毛に合す 
『肺は皮毛に通じ外邪の侵入を防ぐ』
 皮毛はからだの表面部をさし、皮膚、汗腺、うぶ毛などがこれに相当します。皮毛は肺の宣発作用で常に衛気と津液とで養われています。衛気は皮毛を温め、津液は皮毛を潤しているので、衛気と津液は互いに協力して、外邪の侵入を防いでいます。

◆肺は鼻に開竅す 
『肺は鼻の働きを維持し、肺の病変は鼻にあらわれる』
 肺は呼吸のとき、鼻より清気と濁気の交換をします。肺の働きが正常ならば、鼻のとおりがよく、嗅覚も敏感です。

脾
◆脾は運化を主る 
『脾は飲食物の消化・吸収の過程を管理する』
 口から入った飲食物は、胃でドロドロの粥状態に変化し、次に飲食物は小腸に送られ、水穀の精微と残渣とに変化します。飲食物からつくられた水穀の精微は脾が吸収し、さらに肺に送られ、残ったカスは大腸に送られ便となります。この一連の飲食物の消化および吸収の働きは、すべて脾によって管理されています。

◆脾は血を統す 
『脾は血の漏出を防ぐ』
 脾は血が経脈をながれる際に、脈外に漏れだすことを防ぐ働きをします。

◆脾は昇提を主る 
『脾は、臓腑、器官の固有の位置を維持する』
 脾には、臓腑、器官の固有の位置を維持する働きがあり、さらには水穀の精微を肺にまでおくる働きがあります。

◆脾は口に開竅す 
『口や唇は脾の支配下にあり、脾の病変は口や唇にあらわれる』
 飲食物が口から入り、水穀の精微に変わるまでの過程は、すべて脾の運化作用により管理されています。そのため、脾の運化作用の失調は、味がない、口が粘る、食欲の変調、唇の色が淡白など、口や唇の症状としてあらわれます。

腎
◆腎は精を蔵し、発育・生殖を主る 
『腎は成長、発育、性欲、生殖と深くかかわる』
 精とは生命の根本をなすもので、父母から受け継いだ精(先天の精)が、飲食物からつくられた水穀の精微(後天の精)の滋養を受けて形成されます。精は腎に蓄えられるので、腎精ともいいます。腎精が充実すると、人の身体は成長、発育し、腎精が衰えると老化がはじまります。つまり、人の発育・老化は腎精によって支配されているのです。

◆腎は水を主る 
『腎は脾・肺と協調し水液の代謝をおこなう』
 腎は、肺の粛降作用によって膀胱に運び込まれた不要な水液を尿として排泄させ、同時に水液の一部を再び肺にもどす働きをします。また腎は、脾の運化、肺の宣発・粛降そのものを助けます。そこで、腎は肺・脾と協調し、水液代謝の過程を完成させます。

◆腎は納気を主る 
『腎は清気を蓄える』
 腎は肺の粛降作用で運びおろした清気を引き込み、蓄えます。この意味で、腎は肺とともに呼吸に深く関わっています。そこで、「呼気は肺が主る」「吸気は腎が主る」といいます。

◆腎は骨を主り、髄を生じ、脳に通ず 
『腎は髄をつくり、髄は骨・脳をつくる』
 腎は髄をつくりだします。髄は骨をつくるもとであり、髄があつまり脳ができます。

◆腎は二陰に開竅す 
『腎は二陰の働きに深く関わり、腎の病変は二陰にあらわれる』
 二陰とは、前陰(外生殖器)と後陰(肛門)をさします。前陰は尿の排泄口であり、性交や産道の場所でもあり、後陰は大便の排出口です。腎は二陰を通じ、排尿、性交、出産、排便などに深く関わります。

五臓

五臓の失調による「肩こり」


  • 肺の失調
 慢性の咳嗽や他の臓腑の気虚により、肺の機能を失調し『肺気虚』となります。

【症状】 胸がつまり、息があがる感じを覚え、時を前後し、肩の沈重感、酸感を自覚します。肩こりは疲れると悪化し、体が休まると楽になります。

【舌診・脈診】 舌質は淡、舌苔は薄、脈虚弱
【治法】 補益肺気、行気
【良い食材 】 穀類、山いも、肉類、サバ、サメ、タチウオ、イワシ、カツオ、タラなど
【鍼灸治療代表配穴】 肺兪、膏肓、気海、足三里、合谷、局所穴など

  • 脾の失調
 飲食不節制、肉体疲労、肝病の影響などにより脾気を損傷し『脾気虚』となります。日本人にきわめて多い肩こりで、悪化しているときは、首がややうつむき加減になり、全身から疲労感を漂わせます。

【症状】 肩甲骨内縁あたりに沈重感、こわばりがあり、何をするのもおっくうになる、全身疲労、食欲不振、食後眠くなる、ときに悪心など

【舌診・脈診】 舌質は淡嫩、舌苔は白膩、脈緩弱
【治法】 益気健脾、行気
【良い食材】 うるち米、いも類、いんげん豆、白豆、干ししいたけ、栗、鶏肉、豚の胃袋、牛肉、田ウナギなど
【鍼灸治療代表配穴】 脾兪、中脘、気海、陰陵泉、足三里、太白、局所穴など

  • 腎の失調
 老化、先天不足、慢性病、肉体疲労により『腎気虚』となります。腎虚を形態的に考えれば、腰部からすでに前屈傾向をしている方もいます。これにより頚部に過度な緊張状態を起こしていることも要因の一つとなります。

【症状】 筋の過緊張による肩こり、膝や腰がだるい、精神疲労、浮腫、頻尿、排尿後の余瀝など

【舌診・脈診 】 舌質は淡、舌苔は白、脈沈弱
【治法】 補腎益気、行気
【良い食材】 山いも、キャベツ、カリフラワー、豆類、栗、くるみ、鳩肉、豚骨、ウナギ、スズキ、イシモチなど
【鍼灸治療代表配穴】 腎兪、関元、太谿、三陰交、局所穴など

  • 肝の失調
 ストレス、気血平衡失調により肝の疏泄作用が失調し『肝気うっ結』となります。肝の疏泄失調は、全身の経気の停滞を引き起こすので、肩こりが生じます。気がうまく流れないことで起こる肩こりで、もっとも多い原因です。

【症状】 肩の稜線から頚部側面・肩甲間部のこり、パンパン・バリバリという脹った状態、怒りっぽい、ため息、抑うつ、胸肋部痛

【舌診・脈診】 舌診は淡紅、舌苔は薄白、脈弦
【治法】 疏肝理気
【良い食材 】 セロリ、大根、みかん、ゆず、オレンジ、きんかん、ジャスミンなど
【鍼灸治療代表配穴】 身柱、内関、太衝、中封、陽陵泉、手三里、局所穴など

  • 心の失調
 脾胃の運化失調、急性・慢性出血、ストレスなどにより『心血虚』となり、心血の不足で「神」が失調すると、肩こりが生じます。精神状態に大きく左右されます。

【症状】 肩から背中が重苦しく、違和感が終日とれない、凝りの左右差がないことが多い、動悸、息切れ、不眠、夢をみる、不安感など

【舌診・脈診】 舌質は淡、舌苔は薄白、脈細弱
【治法】 養血安神、行気
【良い食材】 にんじん、ほうれん草、小松菜、みかん、かぼす、レモン、オレンジ、ぶどう、ライチ、落花生、豚ハツ、イカ、カキなど
【鍼灸治療代表配穴】 心兪、膈兪、脾兪、足三里、三陰交、内関、神門、身柱、局所穴など

肩こり改善に効果的な運動


 肩こりを改善するうえで最も重要なことは血流を良くすることです。肩こりには筋肉が緊張して硬くなってしまっている場合(ざっくり言うといかり肩)と、伸ばされてしまうことで硬くなっている場合(ざっくり言うとなで肩)があります。緊張している場合にはストレッチが有効で、伸ばされてしまっている場合は筋肉を鍛えることが有効です。しかし、肩こりは肩だけの問題ではありません。体温が低い、脊柱のS字カーブの乱れ(姿勢が悪い)、ストレス、仕事時の姿勢など、改善すべき問題は多くあります。そこで、ここでは全ての肩こりの方に有効と思われる運動を中心にお話します。

山登り①全身運動:ウォーキング(散歩・ハイキング)やスイミングなどの有酸素運動
 やはり全身を使った有酸素運動が最も効果があります。全身の血流がよくなり、ほどよい汗をかきます。この程好い汗が重要です。中医学で疏肝理気という言葉があり、肝の気を巡らす疏泄の働きを改善することをいいます。この疏肝理気はかるく汗ばむ運動が適しています。誰もが運動をしてスッキリしたり、お風呂に入るとスッキリした経験があると思います。この状態をいいます。気がめぐれば血も巡りますので、肩こり改善にもよく、ストレス解消にもなります。さらに、ウォーキングやスイミングは肩周りを動かしますので、直接肩こりの原因となる筋肉(僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋など)を柔軟にしてくれます。

ビハインドネック②肩甲骨を動かす運動:筋トレでは、けんすい・ビハインドネックなどの動き
 上記にもあるように局所的にみれば、肩甲骨周りの筋肉を動かしてあげることも肩こり改善につながります。スポーツクラブに通われている方は、ビハインドネックというトレーニングが向いています。クラブによりマシン名が違うので、ハイプーリーとかバーティカルマシンとかいうかもしれません。一般的な広背筋のトレーニングですが、頭上からバーを首の後ろに引きつける運動です。重い重量で行う必要はありませんので、20回2セットくらいから行ってください。できるだけ肩甲骨を動かすことを意識して行うと効果的です。けんすいは強度が高いので、肩こり改善には向かないかもしれませんが、筋力に自信がある方は十分肩こり改善につながるトレーニングです。自宅ではタオルを両手で持って、頭上から頭の後ろ(首の付け根)に引きつけるようにします。負荷はありませんが、ゆっくり4秒かけて首の付け根に持っていき、4秒かけて頭の上に腕を伸ばすようにし、それを20回3セットを1日1回行うだけでも効果的です。最初は多少つらいかもしれませんが、筋肉は一度緊張するとその後に緩むという特性があります。そのため筋肉トレーニングはストレッチの効果もあるので、定期的に続けることをお勧めします。もちろん、ケガや体調には十分注意して行ってください。

肩こりを防ぐ食生活のポイント

◆血液の巡りをよくする食材
 ゴマ、タマネギ、ショウガ、ニラ、ニンニク、大豆、青魚(イワシ、サンマ、アジなど)
◆筋肉の収縮をスムーズにするカリウム
 イモ類、豆類、バナナ、リンゴなどの野菜や果物に豊富に含まれています。また、胚芽米、全粒粉のパン、ナッツ類に多いマグネシウムは、カリウムの働きを助けます。
埼玉県川口市の中医学専門はり灸治療院
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