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埼玉県川口市の中医学(中国伝統医学)に基づく施術を行っている鍼灸院です。

〒332-0023 埼玉県川口市飯塚3-7-28TEL:048-446-9860

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皮膚のかゆみ

かゆみ ここでの「皮膚の痒み」は、皮膚のかゆみを自覚して掻きたくなるが、原因となるような皮膚の変化がないものをいいます。ただし、掻いたために二次的に皮疹を生じる場合があります。アトピー性皮膚炎や蕁麻疹などにみられる症状です。

現代医学からみた「皮膚のかゆみ」

かゆみ かゆみを引き起こす刺激は、食べ物や衣服、加齢や室温、湿度などさまざまなものがあります。また、肌をかくとかゆみ受容器に伝わった刺激の一部が末端の神経に伝わり、かゆみ物質のヒスタミンなどを放出する細胞を刺激するため、かけばかくほどかゆみが増す現象を起こすと考えられています。

考えられる原因

1、肌のタイプ
 皮膚のバリア機能が低下しやすい乾燥肌や、バリア機能が常に低下した状態の敏感肌は、刺激物質に影響されやすいものです。髪の毛先が顔に触れたり、下着による皮膚の圧迫などのちょっとした刺激でもかゆみが起こることがあります。

2、加齢による皮膚の乾燥
 年齢が上がると、皮膚の老化によって皮脂腺や汗腺の働きが低下して、皮膚の保湿力が失われて乾燥しやすくなります。とくに更年期以降は女性ホルモンの減少によって皮膚が乾燥しやすくなり、かゆみを感じることが多くなります。男性も60歳代後半くらいから男性ホルモンの減少によって、皮脂腺の働きが低下するために皮膚が乾燥しやすくなります。

3、高温多湿や低温乾燥の環境
 高温多湿の環境は汗が出やすくなります。汗の量が増えていくと、皮膚にある汗の通り道や出口がつまり、汗が体の外に排出されず周辺の組織を刺激してかゆみや炎症反応が起こることがあります。逆に、冬の低温乾燥の環境は、皮膚から皮脂や水分を奪い、かゆみを引き起こします。高齢者の皮膚のかゆみの最も多い原因といわれています。

4、虫さされ
 蚊、ノミ、ダニ、ブヨ、ケムシなどの昆虫に皮膚を刺され、毒性のある物質が体内に入ることで、腫れやかゆみが起きます。

5、薬の副作用
 飲んだり注射した薬や塗り薬によって、かゆみが起こることがあります(薬疹)。多くは薬物に対するアレルギー反応と考えられています。

6、皮膚のかゆみの原因となる疾患
 ハウスダストや食べ物などのアレルギーが原因となるアトピー性皮膚炎、刺激の強いものや特定の物質に触れることで起こる接触性皮膚炎があります。食べ物や薬、植物が原因となる蕁麻疹、白癬菌による感染で起こる水虫や白癬症、汗による皮膚への刺激が原因となるあせも、ストレスなどが誘因となる乾癬なども皮膚のかゆみの原因となります。これらの疾患と違って、皮膚の乾燥や炎症がみられないのに、皮膚がかゆい場合は内臓の疾患などが原因で起こる皮膚掻痒症が疑われます。

「皮膚のかゆみ」をともなう疾患

  • アトピー性皮膚炎
 ハウスダストや食べ物などの原因物質によって引き起こされるアレルギー疾患です。一般的に、乳幼児期では顔・頭・耳などの皮膚がジクジクして赤く腫れ、小児期以降では皮膚が乾燥してカサカサに乾き硬くなります。強いかゆみを伴うため、掻くことで細菌に感染して悪化することがあります。思春期ごろに治まる人が多いのですが、成人以降も続くと慢性化することがあります。
◆アトピー性皮膚炎についてはこちら

  • 接触性皮膚炎(かぶれ)
 特定の物質に触れたことで起こる皮膚炎のことです。赤ちゃんのいる家庭では一番身近なのが、オムツかぶれです。これは尿や便のアンモニアが原因となる刺激性接触性皮膚炎で、触れてから数時間後に炎症を起こします。その他、油や洗剤、石鹸などでも起こる場合があります。これとは別に、アレルギー物質に触れることで炎症を起こすアレルギー性皮膚炎があります。貴金属や化粧品、うるしや銀杏などに触れることで、接触しなかった部位も含めて皮膚が赤くなり、ブツブツや水疱ができたりするもので、かゆみの強いものとそうでないものがあります。

  • 蕁麻疹
 食べ物をはじめ、薬や植物などが原因として挙げられています。その食べ物を食べたり、植物に触れたりすることで皮膚が反応して赤く盛り上がり、強いかゆみをともないます。皮膚の赤い盛り上がりは直径数ミリのものから、広範囲の地図状に広がるものまであり、ほとんどの場合数分から数時間で消え、しばらく時間をおいてからまたあらわれることがあります。

  • 水虫・白癬症
 カビの一種である白癬菌が足の裏や手について感染すると水虫、体の表面や頭皮などに入り込み感染すると白癬症と呼ばれます。特にかゆみが強いのは、足の裏と体の感染です。足の裏では小さな水泡ができたり、指と指の間が赤くなり皮がむけ白くふやけます。体では赤いブツブツや赤い輪があらわれることが多く、いずれも激しいかゆみをともないます。

  • あせも
 汗腺の出口がつまり、汗腺の出口とその周辺に汗がたまって起きる炎症です。多くは赤みを帯びた小さな発疹ができます。汗をかきやすい額やわきの下、肘や膝の裏側に多くみられます。汗をかきやすい夏はもちろん、熱すぎる暖房や厚着などによって冬にもみられます。乳幼児に多い疾患ですが、大人にもできることがあります。

  • 乾癬
 境界がはっきりした赤い発疹と、発疹の表面にフケのようなかさぶたがつき、かゆいのが特徴です。発疹は頭部からでき始めることが多く、徐々に肘、膝、腰など皮膚がこすれやすい部分に広がり、膿みをもったり関節痛などの症状が出ることもあります。遺伝や免疫機能の低下などが関係し、ストレスや内臓の障害などが引き金となって発症するのではないかと考えられています。

  • 皮膚掻痒症
 皮膚病や肌の乾燥がないにも関わらず、皮膚がかゆくなる疾患です。肌の一部がかゆくなる限局性と、全身がかゆくなる全身性の2つに分けられます。限局性皮膚掻痒症は、前立腺肥大や毛じらみ症、カンジダ膣炎、ギョウ中症などが原因になります。全身性皮膚掻痒症は、糖尿病や慢性腎不全、甲状腺機能亢進症や低下症、更年期障害などが原因としてあげられるほか、精神的なストレスが原因になっている場合もあります。

中医学からみた「皮膚のかゆみ」

かゆみには外邪の「風邪」が大きく関係しますので、まずは風邪について説明します。

風邪の特徴および病証

風
①変化が敏速
病状の進展がはやく、あるいは変化しやすい
 具体的には、感冒にかかったのち、寒けがあり、何時間も経たないうちに発熱、鼻水、のどの痛みなどの症状があらわれ、さらに翌日には高熱、咳、痰をはくなど、症状がすばやく変化する特徴があります。

②遊走性、移動性がある
病変部位が変化する
 具体的には、疼痛部位が移動する、遊走性の疼痛、かゆみが移動する、発疹の部位が移動するなどの症状があらわれます。

③上半身、皮膚をおかす
風邪は性質が軽いため、頭部、顔面部などの上半身、あるいは表面部の皮膚に症状があらわれやすい。
 具体的には、うなじや背中に寒け(悪風)がある、あるいは頭面部の症状である頭痛、めまい、皮膚症状であるかゆみ、発疹などがあらわれます。

④動揺する
動きをともなう症状が多い
 具体的には、ぐるぐる回る感じのめまい、けいれん、震えなどの症状をあらわします。

⑤他の邪気を先導する
風邪は単独で人体に侵入することは少なく、ほかの邪気をともない侵入することが多い。臨床上は風寒、風熱、風湿が多いです。

【風邪の病証】
①風邪が表にあるときの症状
 寒け(悪風)、寒けは温めると緩解、発熱、汗がでる(自汗)、頭痛、鼻水、鼻づまり、あるいはのどのかゆみ、軽い咳など

②風邪が皮膚に停滞したときの症状
 発疹、皮膚のかゆみ、発疹あるいはかゆむ場所が急に発生し一定しない、よく移動したり増減するなど

③風邪が経絡に停滞したときの症状
 走行性の痛み、しびれ、ひきつれ、こわばりなど

◆内風について
 疾病の変化の過程であらわれる風証、およびそれを誘起した病因そのものを指します。外感の風邪と区別するために、内風とよばれています。多くは、火熱熾盛・血虚陰虧・気血逆乱などによって生じる肝風内動を指します。

弁証施治

皮膚の痒みは、季節により症状が大きく変わってくるので、外邪および内因が関与しています。また、血の状態により、皮膚の症状も違ってきます。

  • 血熱
いらいら・焦燥感があったり、辛香の物や熱い物を過食し、血分に熱が侵入し、風を生じて発症します。

【症状】青壮年で血気盛んな人に多く、夏季で陽気が盛んな時期に外熱と内熱が結合して掻痒が甚だしくなり、寒冷の季節に軽快する。掻破して線状の血痕を残す。温めると増悪、冷やすと軽減

【随伴症状】口の渇き、いらいら

【舌診・脈診】舌質は絳あるいは舌尖が紅、舌苔は薄黄、脈は弦数あるいは滑数
【治法】清熱涼血、疏風止痒
【良い食材】れんこん、へちま、にがうり、チンゲン菜、金針菜、空心菜、キウイフルーツ、カキ、白菜、タンポポ、トマト、緑豆など
【鍼灸治療代表配穴】風池、風市、大椎、身柱、血海、三陰交、中封、委中、曲池など

  • 血虚
老化・慢性疲労などにより気血が虚し、血が皮膚を栄養できないために血虚風燥となって発生します。

【症状】高齢者に多い、秋冬に増悪し春夏に軽快、皮膚の乾燥、広範な掻痕と血痂、掻破部の苔癬化、米ぬか状の落屑

【随伴症状】顔色につやがない、動悸、不眠、頭のふらつき、目がかすむ

【舌診・脈診】舌質は淡、舌苔は無苔、脈弦細
【治法】養血潤燥、疏風止痒
【良い食材】にんじん、ほうれん草、小松菜、百合根、ぶどう、豚の皮など
【鍼灸治療代表配穴】風池、風市、曲池、脾兪、腎兪、膈兪、足三里、三陰交、太衝など

  • 風湿
濃厚なもの、脂っこいもの、甘いもの、辛香のもの、熱いものなどを過食して体内に湿邪が滞留し、さらに風邪を外感して、風邪と湿邪が結したために発生します。

【症状】青壮年に多い、夏秋に甚だしい、皮膚の掻痒が強い

【随伴症状】湿盛のため掻破すると水疱・丘疹・びらん・滲出液が生じる

【舌診・脈診】舌苔は白膩あるいは薄黄膩、脈滑数
【治法】疏風化湿、止痒
【良い食材】はと麦、あわ、あずき、金針菜、とうがん、白うり、白菜、コイなど
【鍼灸治療代表配穴】風池、風市、曲池、血海、陰陵泉、三陰交、中脘など

  • 風盛
皮膚腠理が固密でないために風邪を感受し、風邪が長期間うっ滞して化熱したことにより発生します。

【症状】春に多発し慢性に経過する、遊走性の全身性掻痒

【随伴症状】次第に皮膚が肥厚して苔癬化する

【舌診・脈診】舌質は紅、舌苔は薄黄、脈弦細
【治法】疏風清熱、止痒
【良い食材】白菜、にがうり、セロリ、トマト、きゅうり、りんご、梨、豆腐、緑茶
【鍼灸治療代表配穴】風池、風市、大椎、曲池、合谷、血海など

  • 風寒
陽気が不足して抵抗力が減弱し、風寒の邪を外感して発生します。

【症状】冬季に多発、頭部・顔面・両手など露出部に掻痒感

【随伴症状】寒いと増悪し、暖かくて汗が出ると緩解

【舌診・脈診】舌質は淡、舌苔は白、脈は浮緊
【治法】疏風解表
【良い食材】米、ねぎ、大葉、生姜、香菜、黒砂糖など
【鍼灸治療代表配穴】風池、風門、肺兪、風市、大椎、外関、曲池など

皮膚のかゆみの予防によいビタミン

◆ビタミンA:健康な上皮細胞を作る
 レバー・うなぎなどの動物性食品、にんじん・かぼちゃなどの緑黄色野菜

◆ビタミンE:皮膚の老化を防ぐ
 うなぎ、たらこなど

◆コラーゲン:皮膚の水分を保ち、肌の張りを回復させる
 鶏の砂肝、魚の煮こごりなど

◆ビタミンC:皮膚のバリア機能を高める
 レモンなどの柑橘類

皮膚のかゆみに効く民間療法

◆米ぬか風呂
 適量の米ぬかを布袋に詰め、口をして、バスタブに入れれば完成です。米ぬかには脂肪分を中心に、たんぱく質・でんぷん・ビタミンB1・ビタミンEなどの成分が含まれているので、皮膚をしっとりと潤します。また、有効成分が毛穴から吸収されるので、新陳代謝が活発となり、健康な上皮細胞を作る効果も期待できます。

◆よもぎのローション
 適量のよもぎを1.3ℓの精製水で20分ほど煮出し、ガーゼなどでこして冷まします。そこに、500mlのアルコールとℓメントールを加えれば出来上がりです。
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