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埼玉県川口市の中医学専門はり灸治療院石上鍼灸院ブログ

中医学専門はり灸治療院

中医学は数千年前から臨床現場の経験を積み重ねて理論体系化されている医学です

◆中医学的問診③(例:腰痛)

2017年7月4日(火)

こんにちは、埼玉県川口市の中医学専門石上鍼灸院です。

中医学の問診について、腰痛を例にしての第3弾です。

前回に引き続き、痛みの性質によって腰痛の原因をある程度予想します。
前回は「激痛」でしたね。
次は「脹痛」です。
脹った感じや膨らんだ感じを伴う痛みをいいます。
音でいうと、パンパンとかバリバリとか、突っ張る、ゴリゴリするなどと表現されることが多いです。
風寒の邪気を受けたり、気の流れが滞ったりすると見られやすいです。
肩こりにもよくみられますが、これからの時期だと冷房により冷える(風寒の邪)ことで、張った感じが出たりします。
また、同じ姿勢を長時間していたり、ストレスなどで気が経絡をうまく流れないと気滞を生じます。
車を長時間運転していて、降りるときに腰に脹痛が出たりしますよね。
これに当たります。
少し動けばよくなったりしますよね。
このように、風寒の邪を受けたり、気滞による脹痛であれば、湯船につかったり、運動で汗をかいたりすると腰痛が和らいだりしやすいです。
前回にもお話ししましたが、気滞だけであれば痛みはそれ程でもないのですが、気滞により血の巡りまでが滞ってしまうと痛みが激痛になってしまいます。
分かりやすいイメージでいえば、腰に脹った感じがあり(気滞)、ちょっと体を捻った拍子にズキンと激しい痛みが出て(気滞血瘀)、動けなくなってしまうなんてよく聞きます。
気の滞りを、血に影響させないことが大事なようです。

次は「掣痛」です。
引っ張られるような痛みをいいます。
突っ張るような痛み、伸ばすと痛い、つれた痛みというような表現がみられます。
多くは肝血虚や肝腎陰虚により、筋に栄養を与えられないことで痛みがでます。
陰血不足について、分かりやすい説明が「よくわかる経絡治療講義」(医道の日本社、著大山勝行)に載っていたのでそれを引用させていただきます。

『鶏肉を想像してください。生の鶏肉は潤いがあり軟らかく、無理に引きちぎろうとしても弾力があってなかなか難しいです。しかし、蒸した鶏肉は水分がなくなってパサパサになり、容易に引きちぎれるようになります。このために痛みや運動障害が出るのです。』

潤いは大事だなと思いますね。
なぜ血虚や陰虚になるかというと、先天的なもの、慢性病による陰液や血の消耗、飲食失調による血や陰液の生成不足、過労による消耗、ストレスによる肝の蔵血機能の低下や肝火上炎による陰液の消耗などがあります。
陰液については加齢によっても消耗してしまいます。
では血が不足するとみられる代表的な症状としては、顔色が蒼白や萎黄、爪や唇の色が淡白、めまい、動悸、不眠、手足の痺れ、生理不順、経血の量が少ないなどがみられます。
陰虚の体表的な症状としては、微熱、のぼせ、ほてり、寝汗、のどが渇く、痩せる、めまいなどがみられます。
陰とは血や津液(体水分)をいうので、血虚・陰虚とはっきり分かれず、両方の症状が混ざっていることもあります。
鍼灸治療では、腰の痛みをとり、血や陰を補う経穴を使って治療を行います。
しかし、こういったタイプは鍼灸治療以上に、日々の食生活も大事になります。
そこで、肝血虚の場合は、ほうれん草、にんじん、落花生、ブドウ、ライチ、豚レバー、イカ、タコ、マナガツオなどを摂るようにしましょう。
肝腎陰虚の場合は、黒ごま、黒豆、卵、鴨肉、豚肉、カキ、マテ貝、ムール貝、ホタテ貝、ブドウ、ライチ、豚レバー、イカ、タコなどを摂るようにしましょう。
肝腎陰虚のブドウからは血を補う食材ですね。

今回は以上になります。
台風が今日の未明に来るそうです。
水曜日の通勤時には影響がないといいですね。
次回ももう少し腰痛の質による問診についてです。


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