◆腎は恐怖を生じる最初の場所
2020年8月18日(火)
こんにちは、埼玉県川口市の中医学専門針灸治療院の石上鍼灸院です。
本日は、中医学を現代医学的に捉えるお話です。
【 腎は恐を主る 】
古人は恐という精神情志の変化は腎が主管すると認識していました。
『閃く経絡(医道の日本社:ダニエル・キーオン著)』を参考にさせて頂き、引用文は「 」で紹介しています。
「すべてのホルモンは、感情的および心理的健康状態と深くつながる。臓器から放出されるホルモンはほぼ普遍的に、神経伝達物質としても機能する」
「ドーパミンの欠乏はパーキンソン病を引き起こす場合があるが、ほとんどのドーパミンは脳ではなく、副腎にある」
「脳性ナトリウム利尿ペプチドは心臓と腎臓をつなげ、血圧を制御する」
「これらすべてのホルモンには複数の機能があるということだけでなく、ほとんどすべてが神経伝達物質としても作用するということも、現在わかっている。つまり、ホルモンは我々の脳の延長であり、脳と区別がつかないものだ。あたかも臓器が脳から生じたかのようだ」
「脳が終わり、身体が始まる地点は簡単には定義できない」
「末梢神経の末端は臓器の中に溶けていく。この組織と神経の間の境目はぼんやりしている。神経は臓器に何をするべきか伝え、同じように、臓器は神経に影響するホルモンを産生する」
「脳と身体、精神と身体の区別は我々が生み出したものであり、現実にはそのような区別はない」
「アドレナリンはその最たるものだ。それは心臓を早く鼓動させるだけでなく、精神的に警戒させ、たやすく攻撃またはパニックへと駆り立てる。闘争・逃走反応の間、身体にあるほとんどすべてのアドレナリンが副腎髄質から生じている」
「パニックの感情は脳にあるのか、それとも身体にあるのか? 閉所恐怖症の人が閉じ込められると感じてパニックになると、神経系の暴走は汗をかかせ、動揺させ、心臓を早く鼓動させる。これらは副腎で産生されるアドレナリンから生じる。多くの場合、これらの感情は、どこからともなく現れる。パニック発作では、コワいと意識的に自覚することはない。「コワいと思うのは、すべて頭の中だけのこと」と言うのは無神経なだけでなく、不正確でもある。問題がすべて頭の中にあると考えることは、火事を警戒するのは火災報知器のせいだと言っているようなものだ」
恐怖という感情が、脳の中でだけ生じていると一般的には考えますが、ホルモンの作用で起きる身体の変化なども含めて、人は恐怖を感じていると考えるべきかと思います。
その身体の変化を起こしているのが、副腎と捉えると、「腎が恐を主る」という古人の言葉も納得できる点もあるのではないでしょうか。
となると、腎を強くすれば、恐怖などの情志に対して対処できるようになるのではないかということで、中医学では考え治療に当たっています。
「アドレナリンと同種のホルモンにドーパミンがある。科学が明らかにしたのは、ドーパミンはリスクに立ち向かい、意志力を調整する、脳において不可欠なホルモンであることだ。麻薬常用者はドーパミンのレベルが低く、衝動の制御を難しくさせている。身体のドーパミンのほとんどは、副腎髄質で作られている」
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