◆「乳がん悪化 交感神経で」という記事
2019年7月9日(火)
こんにちは、埼玉県川口市の中医学専門石上鍼灸院です。
今日の読売新聞で「乳がん悪化 交感神経で」という記事に目がとまりました。
記事の内容
「乳がんの増殖や転移に、ストレスで活発になる自律神経が関係していることが分かったと、岡山大や国立がん研究センターなどの研究チームが発表した。
乳がん患者29人から採取した、がん組織内の自律神経を染色し分析。その結果、自律神経の一つで、人がストレスを受けると活発化する交感神経が、組織内に入り込んでいた。
その後患者の経過を調べると、組織中の交感神経が少ない19人は手術後5年間、全員が再発せず生存していたが、交感神経が多かった10人のうち8割は再発するか亡くなっていた。
研究では、人の乳がんを持つマウスを作り、がんの増殖と交感神経との関係も探った。がん組織の交感神経が活発に働くよう遺伝子を操作したマウスは、操作していないマウスに比べ、がんが2倍以上に増殖。転移がんも3倍近い大きさになった。交感神経を除くと増殖や転移は抑えられた。
研究チームは、交感神経が別のがんの進行に関連するか調べたいという。」
この記事を読んで、頭によぎったのは、患者さんの脈についてです。
当院では、毎回脈診を行っています。
脈診によって、その方の現在の精神状態や性格がある程度分かるからです。
今まで診させて頂いた患者さんの中でも、残念ながらがんが発症してしまった患者さんが数人いらっしゃいます。
それらの方全員に共通する脈状が、脈管が硬くて、強い脈です。
この脈状は、交感神経と副交感神経のバランスでいえば、交感神経が優位になっている状態です。
交感神経は、もともと闘争・逃走反応なので、命の危険が迫ったときに、闘うのか、逃げるのか、瞬時に判断し、そのために力強く体を動かす反応です。
つまり、脈管を硬くして、血液を体の隅々まで瞬時に送りこむため、血圧を上げて、脈拍を速めて、強い脈になります。
現代では、命の危険が迫ることは多くはありません。
そのかわり、人間関係などによるストレスという非常に厄介なものが、交感神経を刺激しています。
脈診の話に戻りますが、脈管が硬くて、強い脈の方が皆さんがんになるわけではないので、勘違いしないようにしてくださいね。
このような脈状の方は、非常に多くて、みなさん健康で元気です。
ただ、頑張り屋さんで、弱音をあまり吐きません。
ちょっと悪く言うと、神経質で、頑固な方です。
心の奥でストレスを感じていても、それを見せず、他人にはストレスはないと言っているような方も多いように思います。
それが積もり積もって、活性酸素が増加し、がん細胞を貪食できなくなり、細胞のがん化が起こってしまうのではないでしょうか。
脈診をしていて最近感じていたことは、「脈が強い患者さんは、元気で人当たりも良く健康そうだけど、裏を返せば気を遣い過ぎて、ストレスを溜めこんでしまい、免疫力の低下、活性酸素の増加、体の不調に気づかない(または、気付かないようにしている)などにより、がんのような重篤な病気にかかってしまうのではないか。脈が弱い方は、疲れやすく、元気はないけど、病状がひどくなる前に休んだり、気になる症状があれば早めに検診に行くなど、病気が重篤ななる前に気づくのではないか。あと、脈が強い方は、細胞も元気で、がん細胞の増殖が速い。脈が弱い方は、逆にがん細胞の増殖が遅いのではないか。」
これは、全くエビデンスのない仮説です。
ただ、今回の記事のように交感神経で乳がんが悪化するのであれば、脈診で脈状が強い方であれば、鍼灸治療で交感神経を緩めるようにすれば、がん予防にもなるともいえます。
慢性的な交感神経亢進では、よく肩こりや目の疲れなど血流が悪いとでる症状がみられます。
脈管がずっと硬ければ、血の通るスペースが狭くなり、血流も悪くなりますよね。
最後に言いたいことは、肩こりなどの比較的軽くみられる症状でも、放置せず、早めに改善させておくことで、大きい病気を生じさせないことが大事だということです。
もちろん、鍼灸治療だけでなく、好きな運動をする、好きな趣味に5分でもいいから没頭する時間をつくる、湯船に浸かって一人だけの気を抜く時間をつくるなど、日々、自律神経をリセットする時間を作ってあげましょう。
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