◆経穴「曲池」
2018年7月3日(火)
こんにちは、埼玉県川口市の中医学専門石上鍼灸院です。
今回は、手陽明大腸経の合土穴である曲池についてです。
曲池という名前は、肘を曲げた時にできる陥凹部にあり、手の陽明脈気が入り合するところであり、かつ邪気がたまりやすいことから、池にたとえられ、曲池と命名されました。
曲池を刺激すると、邪気の滞りが解消して、様々な不調を取り除くことができます。
肘の痛み、熱病、のどの痛み、皮膚の炎症、湿疹などに効果を発揮します。
また、曲池を刺激すると、上半身の血流がよくなることが、現代の研究で分かっています。
特に、首から肩にかけての血の流れをよくするために、肩こりの改善に有効です。
手の痺れや指先のこわばりも、肩こりが解消することで緩和されるケースもあります。
さらに、炎症を鎮め、免疫機能を調節する作用があることから、アトピー性皮膚炎の緩和にも役立ちます。
皮膚の血の流れがよくなるので、新陳代謝が活発になり、抵抗力がついて、皮膚が丈夫になると考えられています。
『霊枢 邪気臓腑病形篇』では、「合は内腑を治す」とあり、『霊枢 四時気篇』では、「邪が腑に在るは合を取る」とあります。
曲池は大腸の合穴なので、大腸腑病を治すことができます。
余談ですが、大腸の下合穴である上巨虚を使うのもさらに効果的です。
【効能】 去風散邪、清熱透表
【主治】 鍼灸経穴辞典から引用
熱病、咽喉部の腫脹・疼痛、風疹、腹痛、嘔吐・下痢、赤痢、肘や腕の痛み、胸痛の煩悶感
片麻痺、高血圧症
私は、皮膚病や熱を取り除きたいときには必ず取穴しています。
とても大事なことなので、皮膚病に効果がある理由を中医学的に説明します。
単語自体が難しいので、よく分からない方は読み流してください。
「病が陽中の陽に在る者は、陽の合を刺す」と『霊枢 寿夭剛柔篇』では述べています。
「陽中の陽」とは、部位的には肌表(皮膚)です。
肺は衛に属し、表を主っており、皮毛に合しています。
風邪が皮毛に侵襲すると、まず肺衛がその影響を受けます。
陽明は肌肉を主っており、肌表皮膚に連絡しています。
手陽明経は、手太陰肺経の表裏の表、つまり陽になります。
病が皮膚にあるときは、陽明経の合穴、つまり曲池を刺すといった内容です。
皮膚病は風邪挾寒、挾湿、挾熱などが肌表に客し、そのために気血が阻滞して起こるものが多いのですが、曲池には、去邪透表、全身の風邪を駆除するという特殊な作用がありので、皮膚病、外感表熱証を主治します。
以上、難しくなってしまいましたが、皮膚病には効果的な経穴なので、ぜひ利用してみてください。
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