◆気の働きD 「気化作用」
2016年1月23日(土)
こんにちは、埼玉県川口市の中医学専門石上鍼灸院です。
気の働きについて、第5弾です
それは、「気化作用」です。
気には、ものを別なものに変化させる働きがあります。
一見分かりづらい感じもありますが、簡単に説明すると、
食べたものから栄養を吸収して、体を動かすエネルギーにしたり、血液や体水液を作り出したりすることが気化作用の働きのひとつです。
現代では、胃腸で消化吸収して、グルコースからATPを産生して、骨髄で血液を産生して、など詳しく分かっていますが、数千年の昔にどのように気や血が作られるかを考えた際に、気の気化作用という働きにたどり着いたのでしょう。
先人たちは偉大ですね。
また、気化作用には、不要な体水液を汗や尿に変化させる働きもあります。
そのため、気化作用の失調では、むくみ、汗がでない、尿がでないなどの症状があらわれます。
この気化作用をもう少し理解するために、「精血同源」についてお話します。
精とは精気のことで、精気とは人体を構成し生命を維持するエネルギー物質のことを指します。
血とは血液のことです。これは今と同じ脈管を流れる赤い液体のことを指します。
精とは、腎精とも言われ、腎の臓の中にあり、両親から受けついだ先天の精と食べたものから得た後天の精(エネルギー)から出来ています。
血は、食べたものからを消化吸収してえた栄養物質(これも気化作用)を上方の心肺に輸送し、ここで心肺の気化作用によって、血に転化します。
また、血の化生にはもうひとつ骨髄でつくられるという考え方があります。
腎精が充足することで、骨髄が化生し、骨髄が血を作り出します。
以上のようなことから、精と血との間には、互いに産生、転化します。
この関係を「精血同源」といいます。
つまり、気化作用により、精は血に化生するのです。
この気化作用がうまくいかなかったり、腎精が不足すると、血が不足した症状もあらわれるので、腎精不足の症状(歯がぐらつく、物忘れ、動作が緩慢になるなど)の他に、血の不足の症状(毛髪に艶がない、抜けやすいなど)の症状もみられます。
また逆に、腎精も肝血が気化した精の補充をたえず受けているので、血の不足が腎精の不足を引き起こしたりもします。
分かりづらくなってしまいましたね。
まとめると、人間の体は色々なものが相互に関係しあって成り立っているものです。
体の不調があった時に、原因を一つのところに絞り、病理的変化を探す現代医学は素晴らしい反面、視野が狭くなってしまうこともあるように感じます。
体全体から診る中医学(中国伝統医学)にも素晴らしい点があると最近特に感じています。
体の調子が悪いときに、中医学も選択肢の一つとして考えていただけたら嬉しく思います。
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