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埼玉県川口市の中医学(中国伝統医学)に基づく施術を行っている鍼灸院です。

〒332-0023 埼玉県川口市飯塚3-7-28TEL:048-446-9860

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運動まひ

現代医学からみた「運動まひ」

  • 中枢性運動麻痺
①脳梗塞

 
中高年に多く、急に局所神経症状(片麻痺、半身感覚障害、他に失調、半盲、失語、複視など)が出現し、24時間以上続くもの。症状は段階的に進行することがあります。脳血管内に血栓ができる脳血栓と、脳血管以外でできた血栓が脳血管につまる脳塞栓に分類されます。

②脳出血

 
活動中に急激に発症し(片麻痺、知覚障害、言語障害など)、意識障害、頭痛を伴います。高血圧歴、動脈硬化のある人に多く発症します。

③くも膜下出血

 
20~50代に多くみられ、はじめに激しい頭痛が起こり(悪心、嘔吐を伴う)、そのまま死亡してしまうこともありますが、多くは意識障害が残ります。原因の多くは、脳動脈瘤や脳動静脈奇形のある方に起こります。

  • 末梢性運動麻痺
①橈骨神経麻痺

絞扼部位:上腕部
 
疾患:橈骨神経麻痺、ハネムーン麻痺、サタデーナイト麻痺

 症状:高位麻痺では完全麻痺に近くなる
    上腕三頭筋の作用しか残らない
    下垂手


絞扼部位:回外筋入口部、浅指屈筋

 疾患:後骨間神経麻痺

 症状:拇指の伸展・外転、手指の伸展不能
    手関節の伸展は可能
    知覚障害がない
    回外筋部の疼痛・圧痛
 誘因:過度の前腕の回内・回外反復運動


②正中神経麻痺

絞扼部位:手根管
 疾患:手根管症候群

 症状:拇指から中指の疼痛・しびれ感・知覚障害夜間(特に起床時)のしびれ感、疼痛の増悪
    ファレンレスト(+)
    進行すると拇指球筋の萎縮、ピンチ力の低下


絞扼部位:円回内筋入口部、浅指屈筋

 疾患:円回内筋症候群

 症状:前腕部・手掌から手指の疼痛、しびれ感、円回内筋の圧痛
    チネルサイン(+)
 誘因:過度の指屈曲運動、前腕回内運動(タイピスト、ピアニストに多い)


絞扼部位:回内筋部、浅指屈筋

 疾患:前骨間神経麻痺

 症状:拇指IP関節、示指DIP関節屈曲障害、知覚障害がない
 誘因:過度の手の使用


③尺骨神経

絞扼部位:肘部管
 
疾患:肘部管症候群

 症状:4指・5指のしびれ感・知覚障害
    肘部管の圧痛、チネルサイン(+)
    小指球筋・骨間筋の萎縮
    進行すると鷲手(4指・5指の伸展障害)
    肘関節の異常


絞扼部位:尺骨神経管

 疾患:尺骨神経管症候群

 症状:4指・5指のしびれ感・知覚障害
    小指球筋・骨間筋の萎縮
    尺骨神経管部の圧痛
 原因:小指球部への圧迫既往歴(左官、大工など)
    ガングリオンによるものが多い


④脛骨神経麻痺
 脛骨神経は、膝窩の上方で坐骨神経から分かれて、下腿部後面を走行しています。

 原因:外傷、圧迫、神経炎、腰椎仙椎の疾患など
 症状:踵足
(外反鉤足)
    足関節の底屈不能などの運動麻痺
    外顆、足部外側、足底部の知覚異常


⑤総腓骨神経麻痺
 
総腓骨神経は、膝窩の上方で坐骨神経から分かれて、下腿部前面・外側を走行しています。

 原因:外傷、圧迫、ギプス固定、神経炎、腰椎仙椎の疾患、大腿骨骨折、股関節脱臼など
 症状:下垂足(内反尖足)
    足関節背屈不能などの運動麻痺、鶏歩
    下腿外側背側、第二中足骨周辺部の知覚異常

中医学からみた「運動まひ」

 中医学では癱瘓(たんたん)といい、肢体が軟弱無力で筋肉が弛緩し、運動が困難あるいは不能であることを指します。

「運動まひ」に関係する気・血・津液の働き

気
 気とは人体を構成し、人体が生命を維持するための基本的物質の1つです。呼吸を主り、血の運行をコントロールし、津液を化生して運行させ、肌肉皮膚を温養するなどの機能を指して「気」と呼びます。

【気は血の帥たり】

 気は陽に属し機能活動を担います。血は陰に属し物質の基礎となっています。営血が経脈中を絶え間なく運行することができるのは、気の動力によって推動されるからです。気には生血の機能があり、気が水穀の精気を化生することによって血液が生成されます。また気は血をめぐらすことができます。血液の循行は心気の推動・肺気の輸布・肝気の疏泄作用に依存しています。そこで「気が行れば血が行り、気が滞れば血が凝る」といわれます。このほか気は血液を固摂し、血液が脈管中を正常に循行して外に溢れ出ないようにしています。

血
 血は脈管中を運行する赤い液体、すなわち血液のことです。その生成のメカニズムは、脾胃が水穀を消化し、化生された精微物質や津液などの栄養成分が上方の心肺に輸送されて、そこで肺の気化作用により血が生成されます。この血は脈管中に注いで全身を運行し、全身の皮毛・経絡・筋骨・臓腑などすべての組織器官に栄養を与えます。このような血液の運行は、心気の推動・脾気の統摂・肝臓の調節などの作用に依存しています。

【血は気の母たり】
 血は気を運ぶ母体であり、気に十分な栄養を与えています。すなわち血は気の基礎物質であり、気は血や津液に依存しなければ体内に存在できません。

【血は之を濡すを主る】
 血液は経脈中を循行し、内は臓腑に外は皮肉筋骨にと、円環のごとく絶え間なく運行し、全身の臓腑や各組織に十分な潤いと栄養を与えて、正常な生理機能を維持します。

津液
 人体内のすべての正常な水液のことをいいます。血脈内の津液は血液の組成分となり、血脈外の津液は血液の間隙にくまなく浸透します。津液の生成・輸布・排泄には、胃による受納と消化、小腸による清濁の泌別、脾気による転運・輸布、肺気による宣発と粛降、三焦による水道の通調、膀胱と腎による蒸化と排泄などの一連の気化作用が関与しています。これらの作用によって津液は化生して全身に布散し、五臓六腑・四肢および全身の各関節を滋養します。また人体内の代謝を経て栄養物質が吸収された後の廃液は、汗や尿液に変化して体外に排出されます。それによって、体内の水液の動態的平衡が維持されています。

弁証施治

  • 肺胃傷津
 温熱病の経過でみられ、熱邪が肺を犯すか、病後に余熱が残ったために肺熱が津液(水液)を消耗し、また、熱邪が肺胃を障害すると中焦の化源と上焦の宣散が不足して、百脈が空虚となって肌肉・筋が栄養されなくなり、手足の運動麻痺が起こります。

【症状】外感病の発熱期または発熱後に、上肢や下肢の軟弱無力・手で物を持つことができない・立つことができないなどの症状が生じ、甚だしければ運動まひを呈し、次第に肌肉がやせ衰える。

【随伴症状】皮膚の乾燥、焦燥感、口渇、痰が少ない、むせるような咳、手のひらや足のうらのほてり、両頬部の紅潮、咽喉や口唇の乾燥、尿が濃く少ない、排尿痛

【舌診・脈診】舌質は紅で乾燥、舌苔は黄、脈は細数
【治法】清熱潤燥、養肺益胃
【良い食材】セロリ、茶葉、白きくらげ、白ごま、牛乳、卵、鴨肉、きくらげ、びわ、パイナップル、バナナ、りんご、梨、柿、いちご、キウイフルーツ、豆腐、蜂蜜など
【鍼灸治療代表配穴】肺兪、尺沢、魚際、太谿、胃兪、中脘、足三里など

  • 肝腎陰虚
 肝は血を蔵し筋を主り、腎は精を蔵し作強を主り骨を主るので、先天不足や性生活の不節制のために精血が消耗して肝腎が不足すると、骨髄・筋脈を濡養することができなくなって発症します。

【症状】病勢は緩慢で、次第に下肢や上肢の筋無力あるいは運動まひ・腰背部がだるく無力などが生じ、さらに長引くと筋肉や骨がやせる。

【随伴症状】しびれ、拘縮、筋肉のひきつり、頭のふらつき、耳鳴り、目がくらむ、遺精、早漏、寝汗、両頬部の紅潮、微熱、咽喉の乾燥感、尿量減少、便が硬い

【舌診・脈診】舌質は紅絳で乾燥、舌苔は少、脈は弦細数など
【治法】滋補肝腎、育陰清熱
【良い食材】ごま、白きくらげ、豚肉、鴨肉、スッポン、黒ごま、牛乳、ウズラの卵、カキ、ムール貝、セロリ、きゅうり、トマト、バナナ、豆腐など
【鍼灸治療代表配穴】肝兪、風池、三陰交、腎兪、太谿、太衝など

  • 湿熱
 湿熱の邪を感受するか、湿地で長期間生活したり汗をかいて水に入ったり雨にぬれたり湿がうっして化熱するか、飲食の不節制・酒の嗜好・濃い味の食物の摂取などによって湿熱が生じることにより、湿熱が筋脈にうっ結して筋脈が気血による栄養を受けられなくなって発症します。

【症状】四肢または両下肢が軟弱無力となり、次第に運動まひを呈する。

【随伴症状】肢体の灼熱感があり冷やすと軽減する、体表部には熱感がない、腹が張って苦しい、食欲不振、黄疸、身体がだるい、頭が締めつけられる感じ、顔面のむくみ、口内の乾燥感、口が苦く粘る、尿が濃い、排尿痛、排尿困難

【舌診・脈診】舌質は紅、舌苔は黄膩、脈は濡数あるいは滑数
【治法】清熱利湿
【良い食材】はと麦、とうがん、セロリ、きゅうり、にがうり、白菜、水菜、せり、すいか、緑豆、あずき、茶、豆腐など
【鍼灸治療代表配穴】陽陵泉、三焦兪、委陽、陰陵泉、曲池など

  • 寒湿
 寒湿の邪を感受するか、湿地で長期間生活して寒湿が侵入するか、生ものや冷たいものの飲食や飲食の不節制によって脾の運化が障害されて寒湿が内停することにより、寒湿が筋脈を阻塞して発症します。

【症状】多くはまず四肢が重だるい・無力感などがみられ、次第に運動まひを呈す。

【随伴症状】顔面の浮腫あるいは暗色でむくんだような顔貌、腰背部がだるい、腹が脹って苦しい、食欲不振、悪心、嘔吐、帯下、皮膚の掻痒、足のむくみ

【舌診・脈診】舌質は胖大・歯痕、舌苔は白膩、脈は滑緩
【治法】健脾燥湿、温経散寒
【良い食材】米、生姜、ねぎ、うど、ピーマン、香菜、山椒、花椒、唐辛子、黒砂糖など
【鍼灸治療代表配穴】脾兪、気海、関元、足三里、陰陵泉など

  • 脾胃気虚
 元来脾胃が虚弱で受納と運化の機能が低下し、水穀の精微が化生されないために四肢の肌肉や筋脈が栄養されず、これが長期に続いて発症します。

【症状】四肢の運動まひ

【随伴症状】息切れ、話をするのがおっくう、声に力がない、元気がない、倦怠感、顔色が淡白でつやがない、頭がふらつく、四肢がだるい、軟便、食欲がない

【舌診・脈診】舌質は淡、舌苔は薄、脈は細濡など
【治法】補益脾胃
【良い食材】米、いも類、かぼちゃ、いんげん、キャベツ、にら、干ししいたけ、栗、蜂蜜、胡椒、唐辛子、鶏肉、豚の胃袋、牛肉、ウナギなど
【鍼灸治療代表配穴】脾兪、胃兪、太白、中脘、気海、陰陵泉、足三里、合谷など

  • 腎陽虚
 先天不足で体質が虚弱であったり、慢性病で陽気が消耗し、肌肉・筋脈を温煦できなくなって発症します。

【症状】四肢の運動まひ

【随伴症状】顔面が蒼白、めまい、耳鳴り、倦怠無力感、腰や脚がだるく無力、足の甲のむくみ、四肢の冷え、インポテンツ、遺精、脱毛、汗がでやすい

【舌診・脈診】舌質は淡白、脈は沈弱
【治法】温補腎陽
【良い食材】くるみ、羊肉、鹿肉、スズメ、イワナ、エビ、ナマコ、にら、山椒など
【鍼灸治療代表配穴】腎兪、命門、気海、関元、太谿、合谷など

  • 瘀血
 外傷によって生じることが多いが、慢性病や気滞にともなう血瘀によることもあり、血瘀により経脈の運行が障害されて肌肉・筋脈が栄養されないために発症します。

【症状】多くは下半身の運動まひ、局所の刺痛

【随伴症状】足の甲の浮腫、皮膚が乾燥して薄くなる、四肢が冷たい

【舌診・脈診】舌質は紅で瘀点や瘀斑がある、脈は沈細渋
【治法】活血化瘀
【良い食材】チンゲン菜、にら、甜菜、くわい、にんにく、ねぎ、酢など
【鍼灸治療代表配穴】心兪、膈兪、血海、三陰交、中封など

  • 肝うつ血虚
 情緒変動によっておこることが多く、罹病前からあきらかな情緒不安定がみられ、肝気がうっ結して疏泄が失調したために肝血が濡養できなくなって発症します。情志が安定すると回復して後遺症も残さないが、よく再発を起こします。

【症状】激しい怒りによって四肢の運動まひが突発する

【随伴症状】憂うつ感・悲哀感・すぐ泣くなどの症候、両側の胸脇部の痛み、げっぷ、食欲不振、口が苦い

【舌診・脈診】舌質は淡紅、脈は弦細など
【治法】舒筋養血
【良い食材】そば、玉ねぎ、らっきょう、大根、かぶ、なた豆、えんどう豆、みかん、ジャスミン、ライチ、豚レバー、イカ、タコ、赤貝など
【鍼灸治療代表配穴】肝兪、太衝、期門、膈兪、三陰交、脾兪、腎兪、三陰交、足三里、陽陵泉など

脳卒中に対して注意したいこと

◆夏は脳梗塞、冬は脳出血に注意
 汗で体内の水分が失われることで、血液の粘度が高まり、血栓ができやすくなることから、夏には脳梗塞が起こりやすくなります。運動や睡眠、入浴など汗をかくときの前後には、汗と同じ濃度のイオン飲料で水分を補給するようにしましょう。そのさいは、水分は少しずつ補給することが大切です。一気にたくさん飲んでも吸収しきれず、尿や汗として排出されてしまいます。
 一方、冬は体が寒さに適応して末梢血管が収縮するため、血圧が高くなり、脳出血が多発します。特に危険なのが、部屋の温度差による血圧の上昇です。寒い脱衣所と熱い浴室、暖房の効いた部屋と寒い廊下などの温度差は、特にお年寄りの体に大きなダメージを与えます。同様に、夏場も温度差には注意が必要です。冷房の効いたオフィスに長時間いて、暑い外に出れば血圧は急上昇します。冷房は控えめにして、なるべく外との温度差を小さくするようにしましょう。

◆減塩による血圧のコントロール
 デスクワークの人であれば、、塩分の適切な摂取量は1日8~10gですが、多くの人はこれを大きく超えて塩分を摂っていることと思われます。塩分は、食塩のほか、みそ、しょうゆ、漬物などに含まれ、全摂取量の6~7割を占めています。ほかに、ハムやかまぼこなどの加工食品にも塩分が含まれていますし、穀類や野菜などの食材にも微量の塩分(ナトリウム)が含まれているものがあります。
 まずは調味料から塩分を減らすことが減塩の要となります。メニューは薄味の和食を基本に考えるとよいでしょう。例えば、煮物であれば、まずは味付けの最初に使う砂糖を控えめにするのがコツです。最初に甘みを強くつけてしまうと、それにつられて全体的に味が濃くなってしまうからです。砂糖は薄味にするか、みりんを砂糖代わりに少量使います。味噌汁であれば、具を多くして汁を少なくしたり、漬物にはしょうゆをかけないよう工夫をしましょう。
 塩やしょうゆを減らして味付けが物足りなく感じる場合は、こしょう・わさび・からしなどの香辛料や、ネギ・しょうが・にんにくなどの香味野菜を用いるとよいでしょう。

◆軽い運動で血圧を下げる
 ウォーキングなどの軽い運動には、緊張を和らげ血管を広げて血圧を下げる効果が期待できます。さらにコレステロール値の低下による動脈硬化の予防にもなります。あんまり頑張り過ぎず、1日30~40分程度続けるのが理想的です。運動の前後には水分補給を忘れないようにしましょう。

脳卒中予防に有効な民間療法

◆クマザサ茶
 クマザサに含まれる多糖体、リグニンなどの成分は、コレステロールを除去し、血液の状態を調整して血流をよくします。クマザサ茶は市販されており、健康食品売り場などで手軽に購入できます。10~20gの茶葉と500mlの水を入れて煮出します。

◆松葉茶
 松葉は昔から「長寿の妙薬」として知られています。松葉に含まれるテルペン油にはコレステロールを除去する作用があり、動脈硬化や脳卒中の予防が期待できます。松葉茶も市販されています。茶葉10~20gを500mlの水に入れ煮出します
埼玉県川口市の中医学専門はり灸治療院
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