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埼玉県川口市の中医学専門はり灸治療院石上鍼灸院ブログ

中医学専門はり灸治療院

中医学は数千年前から臨床現場の経験を積み重ねて理論体系化されている医学です

◆テレビ番組で湿邪を学ぶ

2018年6月25日(月)

つゆこんにちは、埼玉県川口市の中医学専門【石上鍼灸院】です。

先々週のの日曜日「ゲンキの時間」というテレビ番組を朝ごはんを食べながらボーっと見ていました。
テーマが「湿邪」だったので、どんな内容を放送するのか少し興味があったからです。
ただ、中医学の知識のない視聴者に向けてなので、失礼ながら大した内容ではないだろうと高をくくっていました。
しかし、非常に「なるほど!」と思える内容があったのでお話しします。
中医学を学んでいる方にも参考になるのではないかと思います。

梅雨の時期は、湿気が多いので外邪のうち「湿邪」が体調に影響するという内容です。
湿邪についてもっと知りたい場合は「中医学教室」ものぞいてみてください。

なるほどと思えた内容をお話ししますが、ボーっと見ていたため、数字等は正確ではありませんのでご了承ください。
男性の被験者2名が、気温28℃で湿度が40%の室内と同じ気温で90%の室内で、簡単な有酸素運動を1時間行った場合の発汗量を調べた実験です。
見た感じでは、想像通り40%の方が発汗量が少なく、90%の方はダラダラに汗が出ていました。
しかし、体重を計測してみると、湿度40%の方が約600g減少していたの対し、90%の方は約300gしか減少していませんでした。
違う被験者2名が、環境を逆の順番で実験を行ってもほぼ同様の結果となりました。
つまり、湿度が高い方が実際の発汗量は少ないということです。
普通は、見た目ダラダラと汗が出ている湿度が高い方が発汗量が多いように思えますよね。
テレビによると、湿度が低いと汗が出てもすぐに蒸発しますが、湿度が高いと汗が蒸発しづらくなります。
そのため、汗がダラダラと皮膚にとどまり、その汗により皮膚がふやけ、汗腺を閉じてしまい、汗が出づらくなってしまうそうです。
お恥ずかしいのですが、私も湿度が高い方が発汗量が多いものだと思っていました。
なるほどと思えたのですが、この後からが私にとっては素晴らしい情報でした。


汗が蒸発しないということは、気化熱によって体温を下げることができづらくなります。
つまり、体温が上昇してしまいます。
感覚的に言えば、熱が体にこもってしまう感じでしょうか。
そうなると、体温の上昇により自律神経のバランスが崩れやすくなります。
ここで、私の頭の中で「
湿熱」というワードが出てきました。

中医学では、気や湿邪などが経絡や臓腑に長く停滞していると、熱を生じるという考え方があります。
例えば、過食傾向の人は胃の中に食べ物が長く留まっているので、そういった方は胃に熱が生じやすくなります。
そうすると、熱を冷まそうと、冷たいものをよく飲むようなったり、口臭が生じるようになります。
イメージですが、恰幅がよく、しょっちゅう何か食べているような方にこのような症状が多いように感じませんか。
他に、ストレスで気が停滞してしまうと、肩がはるとか、力が抜けないような症状が出てきます。
それが長期になってくると、熱化し、熱は上にあがるので、イライラする、顔が赤くなる、目が充血する、頭痛など熱が関係する症状が多くみられるようになります。
話を戻して、湿度が高いと、湿邪が経絡に停滞します。
運動やお風呂に浸かって汗をかくなどで、湿邪を押し返していればいいのでしょうが、運動もしない、食生活や食事内容が悪い(食生活が悪いと内湿といって体の中から湿邪を発生させてしまいます)、もともとの体質などにより湿邪が長く停滞してしまうと熱が生じて、「湿熱」という厄介な邪気になってしまいます。
湿邪はなかなか取り除きにくい邪気ですし、熱邪は症状が強く出る邪気なので、辛い症状がしつこく続くようになります。
この湿熱の発生の仕方が、テレビで教えてくれた汗が蒸発しないために体温が上がってしまうという内容と似ていると考えました。
上記のような中医学の考え方で、湿邪が停滞すると熱が生じて…なんて話されても分かりにくいですよね。
でも、「
湿度が高い時期は、汗の蒸発によって熱を下げることができにくいので、自律神経のバランスが崩れて、湿気による重だるいとかやる気がしないというような症状に加えて、熱がこもって、皮膚に痒みがでたり、のぼせ、頭痛、イライラするなどの症状も加わりやすくなります。
このような説明なら少しは分かりやすくなったのではないかと思います。

アトピーの患者さんの多くは、梅雨から夏にかけて症状が辛くなります。
痒みはもちろん、皮膚が赤く(慢性化すると黒く)、浸出液も出てきます。
落屑の多い一見血虚タイプのアトピー症状の方も、この時期は症状が悪化しやすいです。
皮膚は体の最外層なので、外邪の影響がでやすいく、皮膚疾患を患っている方はどなたでも、湿邪およぶ湿熱の影響を受けやすいと考えます。
逆に言えば、湿熱を除くことが出来れば、症状の好転も速いように感じます。
鍼灸治療でいえば、陰陵泉のような利湿のツボより、三陰交や中封で気血の巡りを良くすると効果が高いと実感しています。
陰陵泉は、経絡の湿邪にはあまり効果がみられないように私自身は感じていますが、これは鍼灸師の先生方個人の臨床経験によるでしょうから一概に言えないので、各自で判断ください。
ちょっと調子づいて話が難しくなってきたので、このへんまでで。

中医学での理論をそのまま患者さんに話すと、怪しい話に思わたり、ぽかーんとされてしまうことも多々あります。
そりゃ、「あなたの気が落ちてるから、気を補いますね」なんて話をされたら、怪しいですよね。
私もそう思います。
今回のように、中医学の内容を西洋医学の内容とうまく合わせて説明できれば、もっと多くの方に鍼灸治療を受け入れてもらえるのでないかと思います。
もっと勉強して、多くの方に中医学や鍼灸治療について知っていただけるように努力していこうと改めて気を引き締めました。

最後に、テレビの話に戻りますが、湿度が高いと体温が上がってしまい自律神経が乱れるということの他に、低気圧により副交感神経が優位になり、それが過剰になると免疫力の低下を起こしてしまう、という情報もありました。
この時期は、自律神経が影響を受けやすいので、日常生活に気をつけて過ごしていきましょう。



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