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埼玉県川口市の中医学専門はり灸治療院石上鍼灸院ブログ

中医学専門はり灸治療院

中医学は数千年前から臨床現場の経験を積み重ねて理論体系化されている医学です

◆舌診についてF 「紅点」

2016年10月8日(土)

こんにちは、埼玉県川口市の中医学専門石上鍼灸院です。

最近は朝晩の気温差が大きいですね。
季節の変わり目なので体調を崩している方が多くみられます。
カーディガンなので上手に調整しましょう。

本日は舌診について第7弾となり、「紅点」についてお話しします。
「紅点」とは、舌面に生じた赤い点状の隆起のことをいいます。
本によっては、「点刺」と呼んだり、紅点より大きいものを「紅星」、とげ状の隆起でザラザラしたものを「芒刺」と呼んだりしますが、基本的には意義は同じになるので、まとめて「紅点」と呼ぶことにします。
紅点

意義は、実熱証、臓腑熱盛となります。
舌苔が黄苔で乾燥していて点刺があれば、気分熱盛を示しています。
気分とは体表面と考えてください。
体表面に熱邪がくっついて悪さをしている状態です。
つまり、発熱が激しく、暑いのを嫌がる状態、例えばインフルエンザに罹っている時などです。
このような時はわざわざ舌を見たりしないでしょうね。

絳舌に紅点がみられるものは、熱入営血が考えられます。
熱が営血まで侵入してしまうと、ひどい場合は高熱が出て意識がもうろうとしたり、吐血などの出血がしやすくなったりします。
これも舌を確認しなくても症状でわかりますね。

なので、普段から紅点がみられる場合は、臓腑熱盛が考えられます。
紅点は舌尖と舌辺によくみられます。
これは、心火亢盛および心肝火旺を示しています。

心火亢盛とは、感情が抑うつして化火し、心火が内盛することで、火が心神を擾乱して生じる病証をいいます。
ざっくり言うと、ストレスにより精神を主る心が乱れてしまっている状態です。
症状としては、胸がつまったようで不快、不眠、顔面紅潮、口渇、舌炎などがみられます。
ひどい場合は、精神錯乱、言動の異常などがみられることもあります。

心肝火旺は、心火亢盛と肝火上炎の症状がみられます。
肝は気血をのびやかに巡らす働きをしていますが、ストレスなどの原因により肝の気血を巡らす働きが滞ってしまい、それが長期化してくると火が生じてきます。
中医学では、食べ物が停滞していたり、気が滞っていて、それが長期化すると化火すると考えています。
その火が上逆して出現する病証が肝火上炎です。
火は上に燃え上がりますので、症状は上にあらわれます。
頭痛、めまい、潮騒のような耳鳴り、顔面紅潮、目の充血、口が苦い、のどが渇く、イライラして不快で怒りやすくなり、不眠などの症状がみられます。

舌中部の紅点で、紅舌、黄苔は胃腸熱結を示すそうですが、私は黄苔が厚いため紅点をみたことがありません。
これは、胃腸に熱があるために、便秘の方や、食欲過剰傾向の方にみられます。

ご自分の舌を見たときに、紅点があれば、熱傾向の体質かなと思ってみてください。
食べ過ぎや辛いもの、味の濃いものなどは火を強めます。
また、ストレスでイライラしても火が強くなります。
紅点がある方は、心を穏やかにするよう心がけましょうね。
イライラして頭痛や耳鳴りを感じたりしたら、要注意です。

最後に、熱傾向の方は便秘しやすい人が多いのですが、では下痢をしやすいから熱が関係ないかというとそうではありません。
冷えが原因で下痢をする以外にも、余分な熱を排泄しようとして下痢をすることもあります。
例えば、お酒を飲んだ翌朝に下痢をするという方は、熱性が強いお酒を体から排泄していることが多いのです。
そのため、排便後にスッキリしますよね。
胃腸が弱い方の下痢の場合は、虚証なので排便後もスッキリしないことが多いんです。
飲酒後に下痢をする方は、飲み方や飲む時間帯、お酒のおつまみに食べるものなどを考えましょうね。
最近私は、一緒に食べる食事の量を今までの半分くらいにし、さらに寝る2時間くらい前にはお酒をやめるようにしています。



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